産後ケアとは?産後ケア事業の目的や必要性を紹介
産後のお母さんは、心身共に大きな負担がかかっているもの。体の回復がままならないなかで24時間育児をしなければならず、サポートしてくれる人も周りにいないという方も多いのではないでしょうか。
そんな産後のお母さんに使ってほしいのが「産後ケア」。この記事では、産後ケアとはどのようなものなのかや、その目的、必要性、実施方法などを紹介します。
産後ケアとは?
産後ケアとは、産後のお母さんの心身のケアや、育児サポートのことです。2019年には「母子保健法の一部を改正する法律」によって、産後1年以内のお母さんと赤ちゃんに対して、自治体が産後ケアを行うことが努力義務となりました。
まずは、産後ケアの概要と、今注目されている理由について見ていきましょう。
お母さんの心身のケアや育児のサポートのこと
産後ケアでは、産後のお母さんの心身のケアや、育児のサポートを行います。具体的には、以下のような内容が実施されています。
- 母体管理や、お母さんの生活面の指導
- お母さんの精神的なケア
- 授乳指導(マッサージを含む)
- 育児指導(沐浴指導など)
- 赤ちゃんの発育・発達・健康などのチェック
- 休息時間の確保
なぜ「育児ケア」が注目されているのか
近年は、核家族が増えたり、地域社会とのかかわりが希薄な人が増えたりしていることから、育児について身近な人に相談したり頼ったりしにくい世の中になっています。こういった理由で、不安やイライラ、負担などを感じているお母さんが増えていると言われています。
また、厚生労働省は2014年に、「地域における切れ目ない妊娠・出産支援の強化」ということで、妊娠、出産、産後の環境や情報に関するサポートと、継続的なケアを充実させることを掲げました。さらに2019年には、「母子保健法の一部を改正する法律」において、産後1年以内のお母さんと赤ちゃんに対して、自治体が産後ケアを行うことが努力義務となりました。このような国や行政の取り組みによって、育児ケアへの注目が高まっています。
産後ケアの目的や必要性を解説!
産後ケアではどんなことをするのかや、目的、その必要性についても気になるところです。詳しく見ていきましょう。
子育てをするお母さんのための相談窓口
産後ケアの目的や存在意義の一つに、子育てをするお母さんのための相談窓口としての役割があります。
保健師や助産師、保育士といったプロのほか、子育て経験者やシニア世代の方など、幅広い立場の人が、妊娠~子育てに関わる悩みなどに耳を傾け、寄り添うことを一つの目的としています。
お母さん同士の仲間づくり
産後ケアは、地域のお母さん同士の仲間づくりを促すという側面もあります。妊婦さんやお母さんが感じる、お家や地域における孤立感を解消し、安心して妊娠~育児ができるようにサポートすることも、目的の一つとなっています。
子育ての支援
産後ケアでは、直接的な子育て支援を行うこともあります。たとえば、乳房マッサージを含む授乳指導や、沐浴などの育児指導、赤ちゃんのお世話などです。
医療機関や助産院に行ったり、宿泊したりしてケアを受けるケース、助産師などに自宅に赴いてもらい、ケアを受けるケースなどがあります。
時には疲れを癒す場所にも
産後ケアとして、産後の疲れを癒す場所が提供されていることもあります。
受けられるサービスは施設によって異なりますが、たとえば民間の場合は、アロママッサージや骨盤矯正を受けたり、やり方を学んだり、育児に関するレクチャーを受けたりするといった内容が挙げられます。付帯サービスが充実していたり、ホテルタイプの施設もあり、費用は1泊数万円程度することも珍しくありません。
一方で、自治体が主体となって提供している場合は、数千円程度で過ごせる施設もあります。ただ、体調不良がある方のみといった条件付きの場合もあり、数万円するような民間の施設と比べると、サービス内容が大きく異なることが多いでしょう。
産後ケア事業には様々な種類がある!
自治体が主体となって行う産後ケア事業には、実施方法にさまざまな種類があります。ここでは、現在実施されている宿泊型、アウトリーチ型、デイサービス型について見ていきましょう。
宿泊型
文字通り、宿泊して産後ケアを受けるものです。主に、産後に家族のサポートが受けづらい方や、授乳が難しい方、退院後間もない方などが利用することが想定されています。
助産師による保健指導を受ける場合は、入院施設のある病院や助産院に宿泊することが一般的です。基本的に、宿泊期間は7日以内ですが、状況に応じて延長できることもあります。
なお、お母さんと赤ちゃんだけでなく、お父さんや他のお子さんを同伴させることが可能なケースもあります。
アウトリーチ型
アウトリーチ型とは、訪問型と言い自宅で産後ケアを受けるものです。主に、産後に家族のサポートが受けづらい方や、授乳が難しい方、精神的にも肉体的にも不安のある方などが利用することが想定されています。
ケアを受けられる時間は自治体によって異なりますが、長いと3時間程度の時間をかけてくれる自治体もあるようです。
ケアは、助産師や看護職が行うことが想定されています。また、相談内容によっては、管理栄養士や保育士、心理に関する知識のある専門家が担当することもあります。
デイサービス型
デイサービス型は、保健センターや病院、助産院、診療所などにお母さんと赤ちゃんが行き、産後ケアを受けるものです。主に、日中にサポートしてくれる人や相談に乗ってくれる人が周りにいない方、授乳が難しい方などが利用することが想定されています。また、お母さんに疲れがたまっている場合は、レスパイト(休息)目的で利用することも想定されています。
個別型と集団型があり、集団型は他のお母さんと赤ちゃんも同時に参加します。そのため、お母さん同士の仲間づくりもできるという点が特徴です。
産後ケアを上手に利用しよう!
産後ケアでは、お母さんの生活面の指導や精神的なケア、授乳指導、育児指導、赤ちゃんの発育・発達・健康などのチェック、休息時間の確保などを受けることができ、さまざまな面から産後のお母さんと赤ちゃんをサポートしてもらえます。
産後は自分の体力回復に専念したい一方で、育児は待ってはくれません。心身共に疲れ果てているお母さんや、育児に不安のあるお母さんは、産後ケアを利用してみてはいかがでしょうか。