風邪をひくのは免疫力低下のせい?免疫力を上げる方法7選

風邪は正式には「風邪症候群」と呼ばれ、子どもから高齢者まで幅広い年代に見られるごく一般的な病気です。
主な原因はウイルス感染であり、特効薬がないため、予防と早めのケアが重要。
本記事では、風邪をひきにくい体をつくるための「免疫力を上げる7つの方法」をご紹介します。
風邪と免疫力の関係性
免疫機能は、ウイルスや細菌といった異物から体を守るシステムのことで、血液中や腸内など、体内に存在する様々な免疫細胞がそれぞれの役割を果たしています。
また、病原体の排除だけでなく、体内の老廃物や、異常のある細胞(がん細胞など)の処理にも関与しており、健康維持に重要な役割を担っています。
主な免疫細胞とその働きは以下の通り。
・好中球:白血球のおよそ45~75%を占める、主要な免疫細胞
・好酸球:寄生虫感染を予防したりする免疫細胞
・好塩基球:白血球のおよそ1%を占める、アレルギー反応に関係する免疫細胞
・T細胞:免疫機能における情報伝達を司る細胞
・B細胞:抗体を作ったり、異物(抗原)の特徴を記憶したりする免疫細胞
・NK(ナチュラルキラー)細胞:がん細胞やウイルスに感染した細胞を攻撃する免疫細胞
・樹状細胞:抗原を見つけて攻撃の指令を出す免疫細胞
・マクロファージ:抗原を見つけて駆除する免疫細胞
このように、免疫細胞の様々な働きによって健康が守られているため、免疫力が低下すると風邪などの感染症にかかりやすくなります。
免疫力が下がると風邪が長引く・悪化することも!
免疫力が下がっていると、風邪をひきやすいだけでなく、風邪が長引く、治りにくい、悪化するといったことも起こりがちです。
細菌などの二次感染が生じ、肺炎などを合併したり、重症化したりすることもあるため注意しましょう。
免疫力が低下する原因
免疫力が低下する原因として、加齢、生活習慣の乱れ、ストレス、冷えなどが挙げられます。
詳しく見ていきましょう。
加齢
年齢を重ねると免疫細胞を生み出す力が弱まり、免疫細胞の数が減っていきます。
さらに、免疫機能の中心的な存在であるT細胞やB細胞といった免疫細胞の働きが弱まることも、免疫力低下の原因に。
このように、免疫細胞の数、働きともに低下することで、免疫機能がうまく働かなくなり、病気にかかりやすくなるのです。
生活習慣の乱れ
睡眠リズムの乱れによる生活リズムの乱れや、運動不足、偏った食生活なども免疫力低下の原因。
例えば、免疫細胞の材料となるタンパク質の摂取量が減少すれば、当然免疫力にも影響するでしょう。
また、免疫力は腸の働きとも関連するため、良好な腸内環境に必要な食物繊維の摂取が不足するのもよくありません。
ストレス
強いストレスによって自律神経のバランスが崩れると、それに伴い免疫力も低下しがち。
ある研究では、仕事や勉強などの精神的ストレスによって免疫物質の分泌が低下するという結果が出ています。 (※)
さらに、慢性的なストレスは腸内細菌に影響し、免疫機能に悪影響を与えることも。
このように、ストレスや生活習慣の乱れは免疫力の低下を招き、風邪などの感染症にかかりやすくなる原因となります。
※…Jemmott JB 3rd, et al.(1983).Academic stress, power motivation, and decrease in secretion rate of salivary secretory immunoglobulin A
冷え
体温が下がると免疫力は下がると言われています。
近年は筋肉量低下によって代謝が落ち、低体温になる人も増えているため注意しましょう。
免疫力低下のチェックリスト
以下のような症状がみられる場合は、免疫力が低下している恐れがあるため注意しましょう。・むくみやすくなる
・ささくれができやすくなる
・爪が割れやすくなる
・疲れやすくなる
・めまいが起こる
・胃もたれやお腹のはりがある
・抜け毛が増える
・目が疲れやすくなる
・口臭が強くなる
など
ひどくなると風邪をひきやすくなったり、口内炎ができやすくなったりするなど、顕著な症状が出てくることもあります。
免疫力を上げる方法7選
ここからは、免疫力を上げる方法を7つご紹介します。
栄養バランスのとれた食事を心がける
免疫細胞を作り出すには様々な栄養が必要。
そのため、免疫力を維持・向上させるためには栄養バランスのとれた食事を心がけることが大切です。
特に意識したいのが「腸内環境を整える栄養素」の積極的な摂取です。
腸には全身の約7割もの免疫細胞が存在しているため、良好な腸内環境の維持が免疫機能の活性化につながります。
善玉菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖を含む食品(ごぼう、バナナ、大豆製品、玉ねぎなど)を積極的に取り入れましょう。
また、発酵食品(味噌、ヨーグルト、納豆など)も腸内の善玉菌を増やす効果が期待できます。
シアル酸を取り入れる
近年では、ツバメの巣に含まれる「シアル酸」などの成分が、免疫をサポートする可能性があるとして注目されています。
免疫機能を整えるために、ツバメの巣などエキスなどが配合されたサプリメントの活用を検討するのもよいでしょう。
シアル酸と免疫力の関係性については、下記記事でも詳しく紹介していますのでご参考ください。
シアル酸に免疫力を高める効果はあるのか?その他のシアル酸の効果とは?
体を温める
体が冷えると血流が悪くなり、免疫細胞の働きも鈍くなってしまいます。
逆に体温が上がると免疫力が上がるとされています。
そのため、ゆっくり湯船に浸かって体を芯から温めるようにしましょう。
また、湯たんぽなどを使うのもおすすめ。
お腹や太ももを中心に温めることで、全身がじんわりと心地よく温まり、リラックス効果や睡眠の質の向上が期待できます。
適度に運動する
運動は血流を促し、免疫細胞が体内を巡りやすくなるため、免疫力アップに効果的です。
また、ストレス軽減にもつながり、自律神経のバランスを整える助けにもなります。
ただし、やりすぎには注意が必要。
過度な運動はむしろストレスや疲労を招き、かえって免疫力を下げてしまうことがあるためです。
ウォーキングや軽い筋トレなど、無理なく続けられる運動を日常に取り入れるのがよいでしょう。
ストレスを解消する
ストレスは自律神経を乱し、免疫物質の分泌も少なくなって、風邪などの感染症にかかりやすくなってしまいます。
そんなときに効果的なのが「笑うこと」。
笑うことで脳がリラックスし、ストレスホルモンの分泌が抑えられるうえ、免疫細胞の一種であるNK細胞の活性が高まると言われています。
音楽を聴いたり、友人と話したり、好きな映画を観たりするなど、自分に合った方法で上手にリフレッシュしましょう。
質の高い睡眠をとる
十分な睡眠は免疫力を保つのに欠かせません。
睡眠の質が下がると、免疫物質や細胞の生成・修復に関係する成長ホルモンの分泌が減ってしまうため、注意が必要。
特に、深い眠り(ノンレム睡眠)がしっかりとれることで、成長ホルモンの分泌もスムーズになります。
寝る前はスマートフォンやパソコンの使用を控え、ぬるめのお風呂に入る、照明を落とすなど、リラックスできる環境を整えることが質の高い睡眠のポイントです。
禁煙する
タバコにはニコチンをはじめ様々な有害物質が含まれており、肺や気道を傷つけ、免疫力低下につながります。
また、喫煙者は風邪やインフルエンザにかかった場合に、重症化して肺炎に至るリスクも高くなると言われています。
そのため、健康を守る第一歩として禁煙にチャレンジしてみましょう。
風邪の予防法
免疫力を高めることも大切ですが、ウイルスや細菌を体内に入れないようにすることが風邪予防の第一歩です。
基本的な予防策として有効なのが、マスクの着用・手洗い・うがい・換気・人ごみを避けること、そして室内の加湿。
手洗いやうがいは、手や喉に付着したウイルスを物理的に洗い流す効果が期待できます。
外出後や食事前にはしっかり行いましょう。
また、マスクは飛沫感染を防ぎ、喉の乾燥防止にも。
加えて、室内を加湿し、適切な湿度に保つことで、ウイルスが空気中に漂いにくくなり、感染リスクを抑えられます。
また、風邪をひいたあとでも、こまめな手洗い・うがいを行うことで、新たなウイルスや細菌への二次感染を防ぎ、症状の悪化を抑える効果が期待できるため、できることから始めてみましょう。
風邪をひいてしまったらどうすればよい?
風邪には特効薬がありません。
対症療法として解熱剤や咳止め薬などを使うと症状が緩和される場合がありますが、無理に市販薬を使わない方がよい場合もあります。
特に発熱はウイルスと戦うための自然な反応なので、ひき始めは体をしっかり温め、免疫力を高めるためによく休みましょう。
安静にし、水分と栄養をしっかり補給することで、免疫が働きやすくなり回復が早まります。
また、水分が不足すると粘膜の防御機能が低下するため、こまめな水分摂取も大切。
ただし、症状がつらく体力が消耗しているときは、薬を使って体を休めるのも一つの方法です。
通常の風邪は数日でよくなりますが、症状が4日以上続く場合や悪化しているときは、細菌感染や別の病気などの可能性も踏まえて医療機関を受診しましょう。
免疫力を高めて風邪を予防しよう!
免疫力を高める行動を意識することで、風邪の予防につながります。
免疫力を高めるためには、栄養バランスのとれた食事や質の高い睡眠、適度な運動、ストレス解消などが大事。
また、風邪を予防するためには、マスク・手洗い・うがい・換気・加湿など、ウイルスを体に入れない対策も欠かせません。
自分の体を守るために、できることから少しずつ取り組んでいきましょう。