肌ハリを保つための食べ物!美しさを支える栄養素とは?

最近、肌のたるみやシワが気になっていませんか?
その原因は、肌のハリが失われていることかもしれません。
本記事では、健やかで若々しいハリのある肌を保つために、毎日の食事で補いたい栄養素を紹介します。
肌のハリによい栄養素・食べ物
私たちの皮膚は、表から順に「表皮」、「真皮」、「皮下組織」の3層構造になっています。
そのうち、肌のハリを支えているのは主に真皮の部分。
この真皮は肌の土台の役目をしており、肌の印象に大きな影響を与えています。
ハリのある肌を保つためには、内側から肌の細胞にきちんと栄養を届けることが大切。
ここでは、良質なタンパク質やコラーゲン、ビタミンCなど、肌のハリのために、毎日の食事で積極的に摂取したい栄養素について解説します。
タンパク質
体をつくるための材料としてとても重要なタンパク質。
肌のハリを司る真皮の約7割を占めるとされるコラーゲンや、エラスチンもタンパク質の一種です。
タンパク質は20種類のアミノ酸からなりますが、このうち9種類の「必須アミノ酸」は体内で作ることができないため、食事で摂取する必要があります。
タンパク質を多く含む食材として、肉や魚、卵、乳製品、大豆製品などが挙げられます。
動物性タンパク質は筋肉づくり、植物性タンパク質は抗酸化作用・代謝促進に効果が期待できるなどそれぞれに傾向があるので、どちらもバランスよく摂りましょう。
コラーゲン
真皮は、繊維状の「コラーゲン」と「エラスチン」という成分が網目上に張り巡らされ、「ヒアルロン酸」がその間を満たすことで弾力を支えています。
ハリ不足は、年齢とともにこのコラーゲンやエラスチンの生成量が低下してしまうことが主な原因。
また、紫外線を浴びることでコラーゲンやエラスチンが変質し、硬くなることでもハリは失われてしまいます。
そのため、肌のハリのためにはコラーゲンがとても大切。
コラーゲンを多く含む食材には、手羽先や鶏皮、牛すじなどがあります。
ただコラーゲンは、食べたからといってそのまま吸収されて、肌のハリの元となるわけではありません。
体内でコラーゲンを合成するためには、それをサポートするビタミンCや鉄分といった栄養素の摂取が欠かせません。
なお、コラーゲンを食べても消化の過程で一度分解されてしまうことから、これまでは食事でコラーゲンを摂ることはあまり意味がないとも言われてきました。
しかし最近では、コラーゲンを摂取すると、分解された「コラーゲンペプチド」という物質が腸から吸収されることが分かってきました。
この成分が体中に届けられ、コラーゲンの生成に関わるとされています。
ビタミンC
コラーゲンの合成に不可欠な栄養素であるビタミンC。
じゃがいもやブロッコリー、パプリカなどの緑黄色野菜、またアセロラ、キウイなどのフルーツに多く含まれています。
ビタミンCには抗酸化作用があるため、肌の老化などの原因となる酸化(活性酸素)を防いでくれます。
また、女性に不足しがちな鉄分の吸収を促進する働きも。
しかし、人間はビタミンCを体内で合成するために必要な酵素を持たないため、食事から摂取することがとても大切なのです。
なお、ビタミンCは熱に弱く水に溶けやすいという性質に加え、体外へ出てしまうスピードが早いという性質を持ちます。
そのため、料理方法を工夫しながら、こまめに摂取しましょう。
鉄分
ビタミンCと並び、コラーゲンの合成に欠かせない鉄分ですが、実は多くの人が鉄分不足気味。
食べ物から摂取できる鉄分は「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類に分けられます。
赤身肉やレバー、マグロやカツオなどに含まれるヘム鉄は、吸収率が25%ほどと比較的高いのが特徴。
一方で大豆や穀類、野菜、海藻などに含まれる非ヘム鉄は、5%以下と吸収されにくい傾向があるため、吸収率アップのためにビタミンCと一緒に摂取するのがおすすめです。
大豆イソフラボン
コラーゲン生成量減少のそもそもの原因として、女性ホルモンの一つ、エストロゲンの関わりが挙げられます。
エストロゲンの分泌は20〜30代をピークに、40~50代では急減してしまい、それに伴ってコラーゲンの生成量も減少してしまうのです。
大豆に含まれる大豆イソフラボンは、このエストロゲンに似た働きをしてくれるうれしい成分。
大豆イソフラボンを摂取することで、エストロゲンの不足を補うことができ、コラーゲンの生成促進も期待できるのです。
大豆イソフラボンが豊富に含まれる食材は、豆乳、豆腐や納豆などの大豆製品。
毎日の食事に取り入れてみてはいかがでしょうか。
ツバメの巣
中華料理の高級食材として有名なツバメの巣は、健康や美容を支える上でとても重要なはたらきをする「糖鎖」を構成する「糖鎖栄養素」を豊富に含んでいます。
糖鎖栄養素は8種類ありますが、ツバメの巣はそのうちの6種類を含むというとても貴重な食べ物。
糖鎖栄養素以外にも様々な栄養素を含んでおり、ハリや弾力アップに効果が期待できます。
肌のハリや弾力に関わるのは真皮の細胞ですが、ツバメの巣のエキスを真皮の細胞に加えたところ、細胞が増殖したという研究結果も。(※1)
さらに別の研究では、エキス化したツバメの巣などを皮膚の細胞と培養したところ、たるみなどの原因となる活性酸素種が減少したという結果や、ハリの源であるコラーゲン・エラスチンの増強、コラーゲン・エラスチンを分解する酵素の抑制効果などがあったという結果も出ています。(※2)
※1…Shuko Terazawa, Hiroshi Shimoda(2020). Keratinocyte Proliferative and Wound Healing Effects of Edible Bird’s Nest Extract on Human Skin. Int J Biomed Sci. 2020; Vol.16 No.4: 43-51. ※2…国立大学法人九州大学農学研究院、ツバメの巣研究所|ツバメの巣のアンチエイジング効果に関する共同研究
抗酸化作用のある食べ物
抗酸化作用とは、体内で「活性酸素」の発生が増えすぎないようにしたり、除去したりする働きのこと。
活性酸素は、免疫機能を司るなど、私たちの体に必要不可欠なものでもあります。
ただ、紫外線や食べ過ぎ、大気汚染などが原因で活性酸素が過度に増える(酸化する)と、細胞が傷つき、肌もダメージを受けることに。
増えすぎた活性酸素が真皮の線維芽細胞を攻撃すると、ハリの元となるコラーゲンやエラスチンの合成が阻害されます。
さらに、皮膚の一番外側にある表皮部分のメラノサイト(メラニンを作る細胞)も刺激され、メラニンが増えてシミになるのです。
そのため、酸化に対抗するためには、抗酸化作用が期待できる以下のような栄養素・成分を摂取するのがおすすめです。
栄養素・成分 | どのような物質か | 抗酸化作用以外の肌に関する特徴・効果 | 多く含まれる食べ物 |
---|---|---|---|
ビタミンA | ビタミンの一種 | ・皮膚、粘膜を健全に保ち、抵抗力を高める など | ニンジン、ほうれん草、レバーなど |
ビタミンE | ビタミンの一種 | ・女性ホルモンのバランスを整える など | アーモンド、アボカド、カボチャ、メカジキなど |
ポリフェノール | 植物によく含まれる、苦味や渋味などの色素成分 | ・コラーゲンの分解抑制 ・抗炎症作用 など | ココア、緑茶、ナス、ゴマ、赤ワインなど |
リコピン | カロテノイド(植物などに含まれる赤色の色素)の一種 | ・コラーゲンの合成促進 など | トマト、赤パプリカなど |
アスタキサンチン | 魚介類などに多く含まれる赤色の天然色素(カロテノイド)の一種 | ・肌のうるおいを守る ・紫外線から肌を守る など | エビ、カニ、サケなど |
腸内環境をよくする食べ物
腸内環境が悪くなると、せっかく摂取した栄養素を腸でうまく吸収することができず、肌の細胞に栄養素が十分に送られなくなります。
そのため、肌のハリのためには、腸の環境を整えることも大切です。
また、腸内環境が悪いと、ハリの元となるタンパク質をつくる働きをしている、ビタミンB群も不足しがちに。
ビタミンB群は、腸内の善玉菌から作られているためです。
腸内環境をよくするためには、善玉菌を増やすための食材を積極的に摂ることが大切。
例えば、善玉菌そのものを含むヨーグルト、納豆、味噌などの発酵食品や、腸内で善玉菌のエサとなる食物繊維を多く含む、海藻類やきのこ、野菜などがあげられます。
肌のハリを高めるための注意点
続いて、ハリを高めて若々しい肌でいるために、食事を摂る際に気をつけたい点を見ていきましょう。
良質なタンパク質をこまめに摂る
前述の通り、タンパク質は、肌のハリを支えるコラーゲンやエラスチンをつくるためにも必要な栄養素。
特に、「良質なタンパク質」を含む食材を積極的に摂りましょう。
良質なタンパク質かどうかの指標になるのが「アミノ酸スコア」です。
9種類すべての必須アミノ酸の一定の基準値を超えていれば(バランスよく含まれていれば)、アミノ酸スコアの値は100となり、タンパク質を体内で十分に生成できると言えます。
アミノ酸スコアが100の食べ物には、豚肉、卵、大豆、牛乳などがあります。
そして、タンパク質は体に蓄えておくことができないため、毎食こまめに摂取することが大切。
なお、厚生労働省の「食事摂取基準(2025年版)」によると、成人女性の1日のタンパク質の推奨摂取量は50gとされています。
煮汁まで飲む
コラーゲンを多く含む食材は、豚足や手羽先、牛スジなどが挙げられます。
じっくり熱を加えて調理するものも多いですが、加熱するとコラーゲンは水にとけるため、煮汁にコラーゲンが溶け出します。
そのため、コラーゲンをより効率的に摂取するには、薄味で煮込み、煮汁ごと食べるのがおすすめです。
規則正しく適量を食べる
肌のハリを保つために重要なのは、必要な栄養素をしっかりと肌の細胞に届けること。
そのためにはまず、できるだけ同じ時間に、規則正しい食事を意識しましょう。。
3食に分けることでこまめに栄養が摂取でき、間食予防にもつながります。
間食をとることにより、胃腸が休みなく動き続けるのは、胃腸にとって大きな負担。
胃腸の消化吸収能力が低下してしまう恐れもあります。
また、自分の体に合った食事量を摂ることも重要なポイント。
余分に食べると、その分の栄養素からもエネルギーを作ってしまい、活性酸素の増加にもつながる<ためです。
そして、暴飲暴食はもちろん、早食いも避けましょう。
よく噛んで食べることで、満腹中枢が刺激され、食べ過ぎを防ぐことができます。
栄養バランスのよい食事を心がける
肌のハリを保つためには、コラーゲンやエラスチンの原料となるタンパク質を摂ればよいだけではなく、その合成のために必要な様々な栄養素も、バランスよく摂取することが必要になります。
また、肌によいからとタンパク質を摂りすぎることは、カロリーオーバーになったり、腸内環境を悪化させたりと、かえって肌のハリを失わせることにもつながりかねないため、注意しましょう。
外食・インスタント食品などは控えめに
外食やインスタント食品は便利で手軽ではありますが、やはり野菜不足などから、摂取できる栄養素は偏りがち。
ビタミンやミネラルといった、健やかな肌に大切な栄養素が不足してしまいます。
また、脂質が多いこともよくあり、これも肌のトラブルを招く原因になってしまうのです。
糖質の過剰摂取は避ける
毎日の食事で糖質を摂り過ぎてしまうと、余った糖は体の中のタンパク質と結びつき、AGEsという老化物質が生成されます。
これを「糖化」と言い、肌の老化原因の一つとされています。
AGEsは、ハリを支えるコラーゲンやエラスチンを変性・劣化させ、肌のハリを失わせ、たるみの原因に。
また、血液や血管も糖化することで、毛細血管はもろくなり、血行不良も起こることから、栄養素が肌の細胞まで行き届かなくなってしまうのです。
肌のハリが低下する原因とは
肌のハリがなくなってしまう主な原因として、まず挙げられるのが加齢です。
年齢とともに真皮を満たしているコラーゲンやエラスチンの合成量が減少するためです。
また、年齢を重ねると筋力が落ち、表情筋も衰えてきます。
表情筋は骨ではなく、皮膚に直接付いていることから、表情筋が衰えると肌を内側から押す力が弱まり、ハリを失わせてしまうのです。
そして、主な外的要因として挙げられるのが紫外線。
紫外線のうち、波長の長いUVAは、真皮まで到達して線維芽細胞を破壊し、コラーゲンやエラスチンの合成を阻害してしまうのです。
他にも、ストレスや睡眠不足によるターンオーバーの乱れ、乾燥などは様々な角度から肌の状態に影響し、肌の弾力低下につながります。
肌にハリをもたらす食べ物で美肌を目指そう!
若々しいハリのある肌は、皮膚の真皮を構成するコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸が支えています。これらの成分を増やしたり、これらの成分を生み出す線維芽細胞を活発に働かせたりするためには、毎日の食事がとても大切。
栄養バランスの取れた食事を、規則正しく取るのはもちろんのこと、十分な睡眠や適度な運動などの生活習慣を整える、紫外線対策や保湿といったスキンケアを上手に取り入れるなどを心がけ、健やかでハリのある肌を目指しましょう。