logo 妊娠・妊活中によい栄養素は?ママと赤ちゃんのための食事法

妊活中や妊娠中の方は、食事からどんな栄養を取るべきなのか、食事で注意するべき点が気になりますよね。

妊活中・妊娠中に積極的に摂るべき栄養素もあれば、普段は食べても問題ないものでも、妊活中・妊娠中には注意すべき食品・栄養素もあります。

そこで本記事では、妊活中・妊娠中に摂りたい栄養素や、食事で注意すべき点を紹介します。

妊娠中に必要な栄養素とは

妊娠中は体に様々な変化が起こり、母体の健康と妊娠の維持のために、普段よりも必要量が増える栄養素もあります。

また、お母さんが摂った栄養素は胎盤とへその緒を通じて赤ちゃんも受け取っているので、赤ちゃんの健康のためにも、十分な栄養摂取が必要。

では、妊娠中にはどのような栄養素がどれだけ必要なのでしょうか。

詳しく見ていきましょう。

タンパク質

タンパク質は、皮膚や骨、筋肉などを作る栄養素で、胎児の発育にも重要な役割を果たします

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によると、20~30代の女性のタンパク質の推奨摂取量は1日50g。

妊娠中期からはタンパク質を1日5gほど多めに、後期は1日25gほど多く摂取することが推奨されています。

タンパク質を多く含む食材は、以下のとおりです。


多く含む食材


含有量(100gあたり)


すけとうだら


40.5g


しらすぼし(半乾燥)


40.5g


豚肉(ヒレ・赤肉)


39.3g


鶏むね肉(皮なし)


38.8g


鶏ささみ


36.1g

鉄分

妊娠中はへその緒や胎児の体内に鉄分を供給する必要があるため、多くの鉄分が必要

妊娠中に鉄分が不足すると疲れやすさや貧血の原因となったり、胎児に栄養や酸素を届けられなくなったりと、悪影響が及びます。

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によると、妊娠中でなく、月経のある女性に推奨されている1日の鉄分量は10.0mg~10.5mg。

さらに妊娠初期は追加で+2.5mg、中期・後期は+8.5mgの鉄分摂取が推奨されています。

また、動物性タンパク質やビタミンCと一緒に鉄分を摂取すると、吸収を助けてくれるのでおすすめです。


多く含む食材


含有量(100gあたり)


あさり(水煮缶詰)


30.0㎎


しじみ(水煮)


15.0㎎


はまぐり(つくだ煮)


7.2mg


がんもどき


3.6mg


牛ヒレ肉


2.5mg

カルシウム

カルシウムは、妊娠中だからといって追加で摂取する必要がある栄養素ではありません。

しかし、成人女性の1日の推奨摂取量650mgと比較して、実際のカルシウム摂取量は大幅に低い傾向にあります。

2023年度に厚生労働省が発表したデータによると、20~29歳女性の平均摂取量は1日386mg、30~39歳女性の平均摂取量は1日399mg。

普段から不足しがちであることを考え、以下のような食材から意識的にカルシウムを摂取しましょう。


多く含む食材


含有量(100gあたり)


干しえび


7100mg


エメンタールチーズ


1200mg


さくらえび(ゆで)


690mg


しらす干し(半乾燥)


520mg


あゆ(焼き)


450~480mg

葉酸

胎児の神経管が作られる妊娠初期の段階で葉酸が不足すると、神経管閉鎖障害のリスクが高まるとされています。

そのため、妊娠1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月までは、通常の食事に加えてサプリメントから1日400μgの葉酸を摂取することが推奨されています

妊娠中の方だけでなく妊娠を考えている方も、サプリメントを積極的に活用し、葉酸を摂取しましょう。


多く含む食材


含有量(100gあたり)


ブロッコリー(焼き)


450μg


枝豆(ゆで)


260μg


ドライマンゴー


260μg


アスパラガス(油炒め)


220μg


芽キャベツ(ゆで)


220μg

食物繊維

食物繊維は妊娠中の便秘解消に役立ちます

妊娠中だからといって食物繊維を多くとらなければならないわけではありませんが、20~30代女性の食物繊維は不足気味です。

成人女性の食物繊維の1日の推奨摂取量は18g以上なのに対し、2023年度に厚生労働省が発表したデータでは、20~29歳女性の平均摂取量は1日14.6g、30~39歳女性の平均摂取量は1日15.4gでした。

そのため、以下のような食材を積極的に取り入れ、食物繊維を十分に摂取しましょう。


多く含む食材


含有量(100gあたり)


焼きのり


36.0g


青汁(ケール)


28.0g


ドライトマト


21.7g


グリンピース(ゆで)


10.3g


干し柿


14.0g

その他

その他、妊娠中に摂るとよい栄養素をいくつかご紹介します。

厚生労働省が示す栄養素

妊娠中は、下表の栄養素も普段より多めに摂るのがよいとされています。


栄養素


妊娠・妊活に関する効果・はたらき


1日の推奨量(妊娠時の追加量)


多く含む食材の例


ビタミンA


胎児に必要


+80μgRAE(後期のみ)


ほたるいか、くろまぐろ、うずらの卵、卵など


ビタミンB1


エネルギー消費量に応じて必要量が増える


+0.2mg


漬物(みそ漬け)、豚肉、落花生、焼きたらこなど


ビタミンB2


エネルギー消費量に応じて必要量が増える


+0.3mg


わかめ、アーモンド、からすみ、魚肉ソーセージなど


ビタミンB6


胎盤や胎児に必要


+0.2mg


ドライトマト、黒砂糖、ブロッコリー、鶏むね肉など


ビタミンC


新生児の壊血病予防につながると言われている


+10mg


パプリカ、ブロッコリー、レモン、辛子明太子など


マグネシウム


筋肉や骨などが増える分、マグネシウムが必要


+40g


マメ科植物、ナッツ類、牛乳、ヨーグルトなど


亜鉛


妊娠の合併症、出産時のリスク、低体重児の出生予防


+2.0mg


かき、からすみ、かぼちゃ、牛肉など





酸素の運搬など様々な役割を担う


+0.1mg


ほたるいか、ピュアココア、しゃこ、紅茶など


ヨウ素


胎児の脳や骨格などの成長を促す


+110μg


こんぶ、ひじき、わかめ、めかぶなど


セレン


抗酸化作用などがある


+5μg


かれい、くろまぐろ、塩さば、まあじなど

ツバメの巣

中国などで妊娠祝いや出産祝いの定番となっているのが、幸運を運ぶ縁起物でもあるツバメの巣です。

中華料理の高級食材というイメージを持っている方もいるでしょう。

実はツバメの巣はシアル酸をはじめとする糖鎖栄養素(糖鎖を構成する糖)が豊富

糖鎖は細胞の表面を覆うように存在し、細胞同士の情報伝達を行うなど、体内で重要な役割を果たしています。

そのため、妊娠期間を健康的に過ごしたい方や、栄養が不足気味の方におすすめ

また、妊娠~授乳期にツバメの巣を摂取することで、子どもの学習能力や記憶力の改善に効果が期待できる可能性もあります。

妊娠中の食事のポイント

妊娠中はお腹の赤ちゃんはもちろんのこと、お母さんの健康も守るために食事に気を付ける必要があります。

ここからは、どんなポイントに気を付けて食事を摂ればよいのかを詳しく解説します。

栄養バランスのよい食事を心がける

主食(炭水化物)、主菜(肉や魚などのタンパク質源)、副菜(野菜などのビタミン・ミネラル源)を基本に、毎食バランスよく食事を摂りましょう

しっかり不足なく栄養素を摂ることで、赤ちゃんの発育を促し、お母さんの体調維持にもつながります。

十分にエネルギーを摂取する

妊娠中はエネルギーの必要量が増加するため、エネルギーを十分に摂る必要があります。

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によると、妊娠中期では普段よりも+250kcal、後期では+450kcalのエネルギーが必要

また、妊娠中に母体がやせすぎていると、切迫早産や低出生体重児が生まれるリスクがあるため、適切な体重増加も必要です。

妊娠中の体重増加量の目安は元々のBMI(※1)によって異なり、以下のようになっています。

・BMI18.5未満:+12~15kg
・BMI18.5以上25未満:+10~13kg
・BMI25以上30未満:+7~10kg
・BMI30以上:個別対応

つわりで食べられない場合や、逆に食欲が増してしまう場合は、1回の食事量を少なめにして回数を分けるなどの方法もあります。

※1 BMIとは…肥満度を表す指標。体重(kg)を身長(m)の2乗で割った数値。

脂質や糖質の摂りすぎに注意

妊娠中は脂質・糖質の摂りすぎに注意しましょう。

お菓子や清涼飲料水、脂っこい料理を食べすぎると脂質・糖質過多となり、肥満になってしまいます。

肥満になると生じるリスクは以下のとおりです。

・妊娠糖尿病
・妊娠高血圧症候群
・緊急帝王切開
・分娩後大量出血
・巨大児
・胎内死亡

食べすぎを避け、前述した適正な体重増加を意識しましょう。

塩分の摂りすぎに注意

塩分を摂りすぎると妊娠高血圧症候群のリスクが上がり、合併症など母体や赤ちゃんに悪影響を及ぼします

酸味やだしの味を生かして味付けしたり、シソなど薬味の風味を生かすと、塩分が少なくてもおいしく食べられるでしょう。

いつもより意識的に水分補給をする

妊娠中はいつもより意識的に水分補給しましょう。

水分不足に陥ると、血栓症などの異常が起こる可能性があるためです。

また、妊娠中にありがちな便秘も、水分を摂ると改善が期待できます

1日あたり 約1.5~2リットル程度の水分を目安に、水分補給しましょう。

つわりで食べられなくても、水分はできるだけとることをおすすめします。

妊娠中に注意が必要な食べ物と栄養素一覧

いつもなら食べても問題ないものでも、妊娠中には要注意な食べ物・栄養素があります。

お腹の赤ちゃんを守るためにも、妊娠中は食べるものや量に気を付けましょう。

妊娠中に注意が必要な食べ物や栄養素の一例は以下の通りです。

アルコール

妊娠中にアルコールを摂取すると胎児に悪影響が及び、小頭症や子宮内で胎児の発育が遅くなるなどの胎児性アルコール症候群が生じる恐れがあります。

また、胎児性アルコール・スペクトラム障害という障害もあり、この障害は少量の飲酒でも発症リスクがあるため、妊娠中は、アルコールを完全に避けましょう。

カフェイン

カフェインが胎児に与える影響は明確に分かっていませんが、過剰摂取すると、めまいや吐き気、震えなどの健康被害があることから、胎児に悪影響を及ぼす可能性があると示唆されています。

そのためWHOでは、妊娠中のコーヒーを1日3~4杯、英国食品基準庁(FSA)ではそれよりも厳しい約2杯までと定めています。

カフェインを完全に除去する必要はありませんが、不安な場合はルイボスティーやハーブティーなど、ノンカフェインの飲み物を選ぶとよいでしょう。

水銀

魚の中には水銀が多く含まれていることがあるため、妊娠中に魚を過剰に食べることで、赤ちゃんに水銀が蓄積され、発育に影響が出る恐れがあります

アジやサバ、サケ、タイなど水銀量を気にしなくてもよい魚もいますが、マグロやキンメダイなどは注意が必要

しかし、全く食べてはいけないというわけではなく、例えば、ミナミマグロやマカジキのお刺身1人前(80g)は1週間に2回まで、キンメダイの煮つけ1人前(80g)は1週間に1回までなど、含まれる水銀量に合わせて食べられる量や頻度の目安が決まっています

厚生労働省が資料を公開しているので、気になる方は参考にしてみてください。(※2)

※2…厚生労働省|これからママになるあなたへ お魚について知っておいてほしいこと|https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/suigin/dl/100601-1.pdf

食中毒のリスクがあるもの

妊娠中は免疫機能が低下するため、食品からの感染症にかかりやすく、重症化もしやすい状態です。

また、中でもトキソプラズマやリステリア菌への感染は、流産や死産をはじめ、胎児の健康に悪影響が及ぶことがあります。

馬刺しや鳥刺し、サラミ、レアのステーキなど、生で食べられるとされている料理でもトキソプラズマに感染する恐れがあるため注意が必要。

また、リステリア菌はナチュラルチーズや生ハムなど、乳製品や食肉加工品などから検出されることがあるため注意してください。

ビタミンA

妊娠初期にビタミンAを過剰摂取すると、先天奇形のリスクが高まります

妊活中から妊娠3ヶ月くらいまでは、過剰摂取をしないように気をつけましょう。

ただし、ビタミンAは妊娠中に必要な栄養素でもあるため、全く摂取しないのは問題です。

サプリメントなどを取り入れる際は服用量を守り、過剰にならないように気を付けましょう

妊娠中の食事に関するよくある質問

最後に、妊娠中の食事に関するよくある質問にお答えします。

Q.つわりで食べられないと赤ちゃんの発育が悪くなる?

A.赤ちゃんの発育に悪影響はないと考えられている

ある研究では、食事がとれないほど深刻な吐き気・嘔吐といったつわり症状があったり、大幅な体重減少を伴う重度のつわりがあったりした場合でも、赤ちゃんの発育には影響がないという結果が出ています。(※3)

そのため、つわりで食事がとれなくても過度に心配する必要はありません。

また、そもそも赤ちゃんがお母さんから栄養を受け取るようになるのは妊娠5ヶ月頃から。

それまでは卵黄嚢と呼ばれる器官から栄養を受け取っているので、お母さんの食事による赤ちゃんへの影響は少ないです。

※3…国立大学法人富山大学 医学部内エコチル調査富山ユニットセンター|エコチル調査でわかったこと

Q.つわりで食べられないときはどうすればよい?

A.無理して食べる必要はない

前述の通り、赤ちゃんがお母さんから栄養を受け取るようになるのは妊娠5ヶ月頃から。

そのため、特に妊娠初期のつわりの際は無理して食べる必要はありません。

食べられるものを食べられるだけ食べる、こまめに水分補給するといった意識でいましょう。

また、食べられそうな時は、たくさん食べることよりもバランスよく食べることを大事にしてください。

Q.NG食材を食べてしまったらどうすればよい?

A.過度に心配せず、今後は食べないようにする

妊娠中のNG食材(摂取量に注意が必要なものも含む)と言えば、アルコール、カフェイン、一部のお魚(水銀が多く含まれているもの)、生物(食中毒のリスクが高いもの)などが挙げられます。

例えば妊娠に気づく前にお酒を飲んでしまう方は少なくありません。

ただ、妊娠中の飲酒が赤ちゃんに影響するケースでは、お母さんが多量のアルコールを習慣的に飲んでいることが多いため、少量を一度うっかり飲んでしまったくらいであれば過度に心配する必要はありません。

また、水銀が多い魚や生物をうっかり食べてしまうこともあるでしょう。

水銀が多い魚は1週間あたりの摂取量の目安が決まっているので、超えたら次回以降の食事で調整することをおすすめします。

生ものなどの場合も、食中毒による重篤な症状が出なければひとまず大丈夫です。

ただ、リステリア菌は感染しても無症状のケースもあります。

いずれにしても、NG食材を食べてしまって不安を感じる場合は、まず主治医に相談しましょう。

妊娠中は必要な栄養をしっかり摂ろう!

今回は、妊娠中に摂るべき栄養や食べ物、逆に注意するべき食べ物を紹介しました。

妊娠中はバランスよく食べ、お母さんだけでなく赤ちゃんにも栄養を行き渡らせるようにしましょう。

ただし、カフェインやアルコールのほか、食中毒の恐れがある食品は赤ちゃんに悪影響を及ぼすことがあるため注意が必要。

避けるべき食品には注意しつつ、栄養バランスのとれた食事を心がけましょう。

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