EGFにはどんな効果がある?取り入れ方や注意点も解説!

EGF(Epidermal Growth Factor;上皮成長因子)は、もともと人間の体内に存在する成長因子です。
様々な美容効果が期待できる成分として、EGFを配合した化粧品を見かけることも増えてきました。
そこで本記事では、EGFの具体的な効果や取り入れ方、注意点などを詳しく紹介します。
エイジングサインが気になりだして、EGFと美容の関連性について知りたくなったという方は、ぜひ最後までご覧ください。
EGFの効果とは?
EGFには細胞の成長や再生を促進する働きがあるとされており、医療分野だけでなく、美容の面でも注目されている成分です。
まずは、どのような効果が期待できるのかをご紹介します。
傷の治りを早くする
EGFには傷の治りを早くする効果が期待できます。
その証拠に、EGFはもともと、火傷した皮膚などの再生や移植といった、病院での治療に使われていました。
傷の治りを早くする理由として、EGFによってケラチノサイト(皮膚表面を構成する細胞)の遊走が活発になることが挙げられます。
遊走とは、細胞が移動すること。
けがをした時などには、傷口に細胞が集まること(遊走)で傷口が治るのですが、EGFでケラチノサイトの遊走が活発になると、傷の治りが促進されるということです。
傷をなめたり、唾をかけると治ると言われるのも、唾液にもEGFが含まれているためだと考えられます。
肌のターンオーバーを整える
EGFには細胞の活性化、増殖促進によって、肌のターンオーバーを整える働きが期待できます。
人間の細胞は一定期間で新しいものと入れ替わっており、表皮を形成する表皮角化細胞の場合、そのサイクルは約4週間。
ターンオーバーが正常に行われることで、健やかでみずみずしい肌が保たれるのです。
なお、ターンオーバーが乱れると、シミやくすみ、肌荒れなどの肌トラブルが起こりやすくなります。
未熟な角化細胞が肌表面に出てきたり、古いものが溜まったりするためです。
シミ、くすみの改善
ターンオーバーのサイクルを整えることで、シミや色素沈着、くすみの改善にもつながります。
シミや色素沈着の原因は、メラニン色素の増殖。
メラニン色素は、主に紫外線によって基底層(表皮のいちばん深い部分)にあるメラノサイトが刺激されることで産生されます。
一方、くすみは角質層の肥厚化によって起こります。
本来はがれおちるべき古い角質が、肌表面に滞留するため、透明感のないごわついた肌になってしまうのです。
ターンオーバーが正常に行われれば、メラニン色素や古い角質の排出もスムーズになり、健やかな肌を取り戻せるでしょう。
ニキビ跡、色素沈着の改善
ニキビ跡やニキビによる色素沈着の改善にも、EGFが一役買ってくれます。
ニキビ跡は、肌がへこんでしまう萎縮性瘢痕と、盛り上がる肥厚性瘢痕に分類され、「ニキビ跡」といえば萎縮性瘢痕を指すことが一般的。
クレーターとも呼ばれる萎縮性瘢痕には、以下の3つのタイプがあります。
・アイスピック型:V字型に深くくぼむ
・ボックスカー型:四角くくぼむ
・ローリング型:なだらかなU字型にくぼむ
最も多いのがアイスピック型で、萎縮性瘢痕の約60%を占めるとされています。
ニキビ跡が残る原因として挙げられるのが、炎症やコラーゲンの欠乏。
さらに、ニキビの後遺症として色素沈着もよく見られます。
これらの症状はニキビの炎症によるメラニンの生成促進や、基底層のダメージが原因です。
EGFにはターンオーバーを促してメラニンの排出を促したり、コラーゲンの素となる線維芽細胞の増殖を促進したりする働きが期待できます。
肌のハリ・うるおいの維持
EGFがヒアルロン酸の合成を誘導することで、ハリやうるおいのある肌を目指すことができます。
ヒアルロン酸は水分を抱え込んで保つ性質があり、コラーゲンとエラスチンのすき間を埋めることで、ハリやうるおいのある肌が保たれるのです。
なお、ヒアルロン酸の量は20代をピークとして徐々に減少。
加齢とともにハリが失われ、シワやたるみが現れるのはそのためです。
小じわの改善
EGFがターンオーバーのサイクルを整えたり、うるおい成分であるヒアルロン酸の合成を促したりすることで、肌の乾燥予防や小じわの改善にも効果が期待できます。
気になる目元や口元の小じわの主な原因は乾燥。
肌の保水力が低下することで、角質層に細かいしわができやすくなります。
特に皮膚が薄く、脂肪も少ない目の周りや口元は注意が必要です。
また、小じわの原因として、加齢や紫外線、生活習慣の乱れなども挙げられます。
これらの原因によって、ヒアルロン酸の減少やターンオーバーの乱れなどにつながり、乾燥しやすくなるためです。
EGF(上皮成長因子)とは?
ここからは、そもそもEGFって何?というところを具体的に見ていきましょう。
まず、EGFは、Epidermal Growth Factorの略。
Epidermalとは、英語で「表皮の」という意味です。
聞きなじみのあるGrowth Factor(グロースファクター)のほうは、「成長因子」という意味。
日本語では、上皮成長因子と言います。
人間の体内にもともと存在している物質で、加齢とともに減るのが特徴。
詳細は以下の通りです。
人がもともと体内に持っている成長因子の一種
EGFは、もともと私たちの皮膚や唾液、母乳などに存在している成長因子の一つ。
成長因子は53個のアミノ酸から構成されるたんぱく質で、細胞の分裂や増殖を促すものです。
表皮細胞を増殖させたり、ターンオーバーを正常化したりする効果も期待されています。
EGFのほかに代表的な成長因子としては、コラーゲンやエラスチンの生成を促すFGF(線維芽細胞成長因子)や、成長ホルモンの作用に関わるIGF(インスリン様成長因子)などがあります。
加齢と共に減っていくもの
皮膚をすこやかな状態に保つのに大切なEGFですが、実はEGFが多いのは25歳ぐらいまでといわれています。
生まれたばかりの赤ちゃんはEGFを豊富に持っており、体が成長する時期はEGFの量も増えていきますが、25歳ぐらいになると減少傾向に。
「子供のころはケガをしてもすぐ治ったのに、大人になったら治りが遅くなってしまった」「年齢とともに肌のたるみやシミが目立つようになってきた」と感じる人が多いのも、加齢によるEGFの減少が原因なのです。
EGFの歴史
EGFは、1962年に、アメリカの生化学者であるスタンリー・コーエン氏らによって発見されました。
当初は、マウスの赤ちゃんのまぶたの開きや歯の成長が早まる効果が見られたことから、Tooth lid factorという名前がつけられましたが、翌年になって上皮組織の増殖を促す効果があることがわかり、Epidermal Growth Factor(EGF)に改名されたという経緯があります。
EGFはその後、火傷した皮膚の再生や移植など、病院での治療に使われるようになりました。
初期は非常に高価なものでしたが、研究や技術の進歩により、大量生産が可能に。
2005年には化粧品への配合も、厚生労働省から認可されました。
また、現在では化粧品だけでなく、EGF配合のサプリメントなども登場しており、美容成分として身近なものになっています。
なお、スタンリー・コーエン氏らは、EGFの発見や研究などの成果が評価され、1986年度のノーベル医学生理学賞を受賞しました。
EGFとFGFの違いとは
EGFと似た名前の「FGF(線維芽細胞増殖因子)」という成長因子もあります。
FGFもEGFと同様に美肌効果が期待されている成分ですが、その性質は全く異なるものです。
EGFは皮膚の表面にある表皮に存在しています。
前述の通り、表皮にはターンオーバーという生まれ変わりの機能があり、EGFによって新しい細胞が作られ、古い細胞がはがれ落ちることですこやかな肌を保っているのです。
一方、FGFが存在するのは、表皮よりさらに奥にある真皮という場所。
真皮には肌の弾力に欠かせない線維芽細胞があり、FGFによって線維芽細胞が増殖することでコラーゲンを増やし、ハリのある肌につながります。
EGFはどう摂取する?
EGFは体の内側から摂取する方法と、外側から摂取する方法があります。
肌悩みが気になったら、日常生活の中で取り入れてみませんか?
食事やサプリメントで取り入れる
EGFを含む食品はそれほど多くありません。
中華料理の高級食材として知られるツバメの巣に含まれていることが知られていますが、毎日食事から取り入れるのは難しいでしょう。
そこでおすすめなのが、EGFの働きを活性化するビタミンD3を含む食べ物を摂取することです。
ビタミンD3は次のような食べ物に多く含まれています。
・牛乳
・卵黄
・イワシ
・サバ
・鮭
など
食事から摂取することが難しい場合はサプリメントを活用するのもよいでしょう。
最近ではツバメの巣のエキスを使ったサプリメントも人気が高まってきています。
サプリメントは特定の栄養素を手軽に摂取できるのがメリットです。
ただし、過剰摂取には注意しましょう。
「たくさん飲めば、その分効果も高くなる」というわけではありません。
また、サプリメントの品質や安全性も重要です。
取り入れる場合は、信頼できるメーカーのものを選びましょう。
化粧品から取り入れる
最近ではEGFを配合した化粧品も市販されています。
アメリカでは、EGF配合のクリームを1日2回、60日間にわたって塗布する臨床実験が行われ、その結果、被験者の表皮細胞に細胞分裂の増加が見られ、肌の老化を減少させる効果があることが分かっています(※1)。
ただし、日本では化粧品に配合する場合、「EGF」という成分名は記載されていません。
化粧品に配合する場合は「ヒトオリゴペプチド-1」や「ヒト遺伝子組換オリゴペプチド-1」と表示することになっているので、化粧品を購入する時に確認してみてください。
※1…https://patentimages.storage.googleapis.com/d6/47/2a/4bb248fbb8da78/US5618544.pdf
EGF化粧品の種類や選び方
EGFが配合された化粧品には化粧水や美容液、乳液、クリームなどがありますが、選ぶときには日本EGF協会の認証マークを確認することも大切です。
日本EGF協会のガイドラインでは「EGF配合の美容液その他の基礎化粧品」として、一定量以上のEGFを配合しなければならないという基準を設けています。
パッケージに認定マークや認定シールがあれば、配合量など品質面で安心できるひとつの目安になります。
また、ある程度の期間で使い切れる容量であることも大切です。
化粧品は空気に触れることで劣化していくので、コスパだけを考えて大容量のものを選んでしまうと、後悔してしまうかもしれません。
EGFのデメリット・注意点
様々な効果が期待できるEGFですが、デメリットが全くないわけではありません。
場合によっては効果が得られないだけでなく、副作用の恐れもあります。
EGFを取り入れるにあたって知っておきたい注意点と併せて見ていきましょう。
EGF配合化粧品の副作用や注意点
EGFによる副作用は基本的にはないとされています。
なぜなら、EGFはもともと人間の体内に存在している成分で、過剰に摂取したとしても、悪影響はないと考えられているからです。
ただ、化粧品自体が肌に合わないこともあります。
かゆみや赤み、かぶれなど、合わないと感じたら使用を中止しましょう。
乾癬(かんせん)の症状がある方は注意が必要
基本的には副作用はないといわれているEGFですが、注意したほうがいいケースもあります。
それは、乾癬(かんせん)の症状がある人の場合。
乾癬とは、赤い発疹の上に、銀白色のフケのようなものがつき、ポロポロとはがれ落ちる皮膚の病気です。
乾癬の方はターンオーバーの周期が非常に短くなっており、ターンオーバーに影響するEGFによって、皮膚が厚くなってしまうという報告もあります。
美容皮膚科等での施術には副作用があることも
美容皮膚科では、EGFを皮膚に浸透させる施術を行うことがあります。
EGF自体には副作用の懸念はないのですが、施術によって一時的に肌に赤みやヒリヒリとした痛みを生じる可能性があります。
心配な方は施術前に医師に相談しましょう。
EGFを効果的に摂取してお肌悩みを解決!
EGFは、人の肌にもともと存在する成長因子です。
表皮の細胞を増殖するなどの働きがあり、ターンオーバーを整える効果なども期待できることから、シミやしわ、くすみ、たるみなどの加齢による肌悩みにおすすめ。
食事で摂取する場合はツバメの巣など一部の食品に限られますが、EGFが配合されたサプリメントや化粧品も市販されています。
無理なく毎日摂取して、より若々しい肌を目指してみませんか?