老化防止のポイントは?老化の原因・症状も含めて解説!

老化とは、加齢による生理機能の衰退のこと。
加齢によって誰にでも起こりうる「生理学的老化」(たとえば視力・聴力の低下、肌のたるみなど)と、病気やけがによる「病的老化」に大別できますが、どちらかだけが起こったりするわけではなく、相互に影響し合って老化・寿命などに影響すると考えられます。
今回は、老化防止のポイントを詳しく解説。
老化の原因や症状も併せて見ていきましょう。
老化防止のための対策
老化の原因の詳細は後述しますが、主な原因は「酸化」と「糖化」だと考えられています。
では、酸化や糖化を防ぐにはどうすればよいのでしょうか?
まずは老化防止のために心がけたいポイントを紹介します。
食事を見直す
脂っこいものや濃い味付け、野菜不足などの偏った食事や、食べてすぐ寝たり、一日一回だけの大食いで済ませたりする不規則な食事は体の酸化につながります。
栄養のバランスを考えて、できるだけ毎日決まった時間に食べることが大切です。
食べすぎや早食いも避けましょう。ただし「食べすぎはよくないから」と極端に食事を減らすのもおすすめできません。
過度な食事制限は栄養不足につながります。免疫力が低下したり、血管がダメージを受けたりして、かえって老化につながる恐れがあるのです。
また、過度の飲酒は肝臓や脳の機能に影響を及ぼします。少量であれば血行促進やリラックスに有効とされていますが、飲み過ぎにならないよう注意が必要です。
【酸化防止】抗酸化作用がある成分を摂る
活性酸素が過剰になると、酸化につながります。
ただ、通常では活性酸素が過剰になりすぎないのは、人間の体に備わっている抗酸化酵素が分解しているためです。
しかし、加齢とともに抗酸化酵素の生成量は減少します。
そのため、以下のような抗酸化作用のある食品を積極的に取り入れて補いましょう。
抗酸化作用以外にも老化に関するさまざまな効果が期待できるため、併せてご紹介します。
栄養素・成分 | 特徴・老化に関するはたらき | 多く含まれる食品の例 |
---|---|---|
ビタミンA |
・目や皮膚、粘膜の健康を保つ ・免疫機能に関与する | ・緑黄色野菜(ほうれん草、にんじん、かぼちゃなど) ・レバー ・青魚 ・うなぎ ・鶏卵 |
ビタミンC | ・コラーゲンの生成に関わる ・免疫力を高める ・加熱で壊れやすい | ・果物(柑橘類など) ・緑黄色野菜 ・いも類 |
ビタミンE | ・免疫力を高める ・血管を拡張する | ・植物油(オリーブオイル、ひまわり油、ベニバナ油など) ・ナッツ類 ・緑色野菜(ほうれん草、ブロッコリーなど) |
カテキン | ・抗菌、殺菌、抗ウイルス作用 | ・緑茶 ・大豆 ・小豆 ・ココア ・果物(りんご、なしなど) |
アントシアニン | ・目の機能を改善する | ・果物(ぶどう、いちご、ブルーベリーなど) ・野菜(なす、しそなど) |
イソフラボン | ・女性ホルモン(エストロゲン)に似た作用がある | ・大豆 ・大豆を原料とする食品(味噌、醤油、豆乳など) |
セサミン・セサミノール | ・抗炎症作用 | ・ごま |
ケルセチン | ・抗炎症作用 ・生活習慣病予防につながる | ・玉ねぎ ・レタス ・アスパラガス |
テアフラビン | ・抗菌作用 ・血糖値の上昇を抑える | ・紅茶 |
β-カロテン | ・ビタミンAのもとになる ・免疫力を高める | ・緑黄色野菜(にんじん、かぼちゃ、ほうれん草など) ・トマト ・すいか |
リコピン | ・血糖値の急激な上昇を抑える ・色素沈着を予防する | ・トマト |
アスタキサンチン | ・肌の潤いを保持する ・抗紫外線作用 | ・サケ ・エビ ・カニ |
アリシン | ・疲労回復 ・抗菌作用 | ・にんにく ・玉ねぎ ・ねぎ |
コエンザイムQ | ・エネルギーを作り出す | ・青魚(イワシ、サバなど) ・牛肉 ・豚肉 |
【糖化防止】糖質を抑えて低GI食品を摂る
糖化防止のためには、甘いものやお菓子類など糖質を多く含む食品は控えましょう。
近年、ダイエット法として注目されている糖質制限も有効です。
ただし、糖質は体のエネルギー源となるため、極端に減らすのはおすすめできません。
無理な制限よりも、工夫が大切です。
たとえば主食なら米やパン、パスタの代わりに玄米を食べるようにするといった具合に。
「でもご飯も大好きだし……」という人は、普段茶わんに1杯食べていたのを半杯にするなど、量を減らしてみましょう。
栄養はおかずを多めに食べることで補えます。
また、高血糖(血糖値が高い状態)も、糖化が起きる原因の一つ。
そこで、血糖値の上昇がゆるやかな低GI食品に置き換えるのも有効です。
GI値とはグライセミック・インデックス(Glycemic Index)の略で、食後の血糖値の上がりやすさを表します。
低GI食品とされるのは、GI値が55以下のもの。
主な低GI値食品は以下の通りです。
食品名 | GI値 |
---|---|
玄米 | 55 |
ココア | 51 |
サツマイモ | 51 |
バナナ | 51 |
そば・うどん | 47 |
パスタ | 46 |
いちご | 40 |
オレンジ | 39 |
リンゴ | 37 |
無糖ヨーグルト | 36 |
牛乳(全乳) | 27 |
大豆(乾燥・ゆで) | 20 |
【脳の老化防止】たんぱく質と脂質が大事
三大栄養素であるたんぱく質と脂質は、脳の老化に大きく関わっています。
皮膚や臓器を形成するたんぱく質は、記憶力や学習意欲、精神の安定に関与するドーパミンやノルアドレナリン、セロトニンなどの神経伝達物質の材料。
うつ病やアルツハイマー型認知症の患者では、これらの神経伝達物質の減少が見られることが確認されています。
また、水分を除くと脳の約60%が脂質でできているため、脂質も不可欠な存在。
よく知られているのがDHAで、不足すると記憶学習能力や認知機能が低下したり、攻撃性が増したりすることが分かっています。
脳にとって大切なたんぱく質や脂質は、体内で産生できないものも多いため、食べ物から積極的に摂るようにしましょう。
栄養素・成分 | 特徴・はたらき | 多く含まれる食品の例 |
---|---|---|
DHA(n-3系不飽和脂肪酸) | ・健康維持 ・思考力、記憶力の維持 ・免疫反応の調整 ・体内で産生できない | ・青魚(イワシ、ブリ、サバなど) ・うなぎ |
EPA(n-3系不飽和脂肪酸) | ・血管・血液の健康維持 ・中性脂肪値を下げる ・体内で産生できない | ・青魚(イワシ、ブリ、サバなど) |
アラキドン酸(n-6系不飽和脂肪酸) | ・脳の栄養素になる ・血圧をコントロールする ・コレステロールを下げる ・体内で産生できない | ・卵黄 ・豚レバー ・青魚(ブリ、サバなど) |
たんぱく質 | ・神経細胞の材料になる ・人間の主要なエネルギー源の一つ | ・肉類 ・魚介類 ・大豆及び大豆製品 ・卵 ・牛乳 |
チロシン(アミノ酸) | ・神経伝達物質の材料になる ・集中力を高める | ・肉類 ・乳製品(チーズなど) ・しらす ・さくらえび |
適度に運動する
適度な運動は老化防止にも有効であり、その重要性は、動物実験でも確認されています。
マウスを使ったある研究では、運動後の骨格筋と血液から細胞老化の抑制を活性化する因子が検出されました。(※1)
さらに、別のマウスに因子を投与したところ、細胞老化抑制の効果が見られたという結果が出ています。(※1)
加齢や運動不足は筋肉量の減少につながるほか、糖尿病などの生活習慣の原因にもなりかねません。
特に普段から座っている時間が長い人や、運動の習慣がない人は注意が必要です。
ただし、急な運動はケガや痛みの原因になったり、過度の運動がかえって活性酸素産生につながったりするため、普段より少し早足で行うウォーキングなど、やや汗ばむ程度の運動がおすすめです。
※1…運動による抗細胞老化効果のメカニズム解明
十分な睡眠をとる
睡眠中には疲労回復や細胞の修復、免疫物質の産生、骨や筋肉の生成に関わる成長ホルモンの分泌などが行われるため、毎日6時間以上は睡眠にあてるようにしましょう。
また、睡眠不足は酸化や糖化とも無関係ではありません。
ある研究では、睡眠の質が向上することで、抗酸化作用が高まる可能性があるという結果が出ています。(※2)
さらに、睡眠不足によって、老化の原因となるAGEs(終末糖化産物)の排出もスムーズに行われなくなるため、注意が必要。
睡眠時間を十分にとるだけでなく、起床と就寝の時間をできるだけ毎日同じにして、生活リズムを整えることも意識しましょう。
質の高い睡眠をとるために、寝る前には、スマホやパソコンから出るブルーライト、喫煙や飲酒、カフェインの摂取などを避けることをおすすめします。
※2…nishikawaの4層特殊立体構造マットレス使用による睡眠のアンチエイジング等の効果を科学的に検証-成長ホルモン分泌促進、酸化ストレス減少、善玉コレステロール値上昇-
ストレスを発散する
慢性的なストレスは自律神経やホルモンバランスを乱す原因の一つとなり、血行不良や睡眠の質低下につながります。
抗酸化酵素の生成やAGEsの排出にも影響しかねません。
また、ストレスが引き起こすとされるのが細胞の老化。
ストレス下で現れる老化細胞は、シミやシワなどの肌トラブルに加えて、様々な病気の原因につながる恐れもあるのです。
ストレスを全く感じない生活は不可能なので、自分なりのストレス発散法を用意することが大切です。
趣味や運動など没頭できるものや、ストレスを感じたら食べるものなどを決めておきましょう。
禁煙する
タバコのニコチンがビタミンCを破壊し、血流が悪くなることで抗酸化作用が低下。
酸化による老化につながりやすく、肌のシミやシワの原因にもなります。
その他にも、タバコには発がん性物質をはじめとする多くの有害物質が含まれており、心筋梗塞や脳梗塞、がんといった深刻な病気との関連性が確認されています。
有害物質を含む煙は周囲の人にも影響を及ぼすため、喫煙者はまず禁煙しましょう。
酸化の原因を避ける
酸化の原因となる活性酸素は、紫外線や大気汚染によって過剰に産生されます。
外出するときは季節を問わず紫外線対策を心がけましょう。
また、大気汚染物質のうち、PM2.5などの粒子の細かいものは特に活性酸素の産生を促すとされています。
さらに、活性酸素はタバコの煙にも含まれているため注意しましょう。
スキンケアを行う
肌も、酸化や糖化、加齢による水分や皮脂の減少などによって徐々に老化するため、若々しい肌を保つために、適切なスキンケアをすることが大切です。
特に気をつけたいのが乾燥。
シミやしわ、たるみといった老化のサインは、肌の乾燥が主な原因です。
乾燥は肌を保護するバリア機能の低下や、ターンオーバーのサイクルの乱れを招きます。
また、ヒアルロン酸などのうるおい・ハリ成分も年齢と共に減少。
そのため、肌は保水力を失い、ダメージを受けやすくなることでさらに乾燥が進むという悪循環に陥りやすいのです。
老化予防には、まず保水成分であるヒアルロン酸やハリを与えるコラーゲン、バリア機能に欠かせないセラミドなどが配合されたものを選びましょう。
シミや色素沈着が気になるときは、トラネキサム酸やビタミンC誘導体などの美白成分入りのものを。
紫外線対策も、一年を通じて行うようにしましょう。
老化防止で注目?「ツバメの巣」とは
高級食材の一つとして知られるツバメの巣は、古くから、老化防止効果や美肌効果があるとして珍重されてきました。
近年では研究が進み、ツバメの巣に含まれる成分とその効果が明らかになってきています。
成分 | 成分の概要 | 期待できる効果 |
---|---|---|
シアル酸 | ・細胞を覆う糖鎖(糖が鎖のようにつながったもの)を構成する成分の一つ | ・酸化ストレスの改善 ・動脈硬化予防 ・免疫力向上 ・認知機能の向上 |
その他の糖鎖栄養素 | ・糖鎖を構成する成分それぞれのこと ・グルコース・ガラクトース・フルクトースなど | ・体内でエネルギー源になる |
EGF(上皮成長因子) | ・人間がもともと持っているたんぱく質の一種 | ・細胞の成長・増殖を促進する ・肌のターンオーバーを整える ・肌細胞の生まれ変わりを促す |
FGF(線維芽細胞増殖因子) | ・EGF同様、体内にもとから存在するたんぱく質 ・皮膚や脳などの組織の発達と修復に関与 | ・肌を健やかに整える |
その他に、ツバメの巣に関する以下のような研究結果もあり、肌や髪などの老化防止にも効果が期待できると考えられます。
・真皮の細胞が増殖し、肌の弾力やハリがアップ ・肌の保水力とバリア機能がアップ ・メラニンの形成を阻害し、シミ・そばかすを予防 ・育毛効果 ・腸内環境を改善
ツバメの巣自体は高級食材なので日常的に取り入れるのは難しいですが、最近ではツバメの巣エキスが配合された化粧品やサプリメントも登場しています。
老化の原因
最後に、老化の原因について見ていきましょう。
老化の主な原因は酸化(体のサビ)と糖化(体のコゲ)だと考えられています。それぞれの詳細は以下の通りです。
酸化
体に取り込まれた酸素の一部が「活性酸素」に変わることをいいます。
活性酸素自体は、細菌やウイルスを分解するなど人間の体に必要なもの。
しかし、過剰になると細胞が傷つけられ、生活習慣病やがんなど、様々な病気につながります。
老化もその一つで、例えば肌では、酸化によってシミやくすみが起こりやすくなったり、コラーゲンやエラスチンといったハリ成分が減少してシワやたるみにつながったりします。
糖化
糖化とは、体内で糖がたんぱく質や脂質と結びついて「AGEs(終末糖化産物)」ができること。
AGEsは細胞を劣化させて老化を促進し、動脈硬化や骨粗しょう症、アルツハイマー型認知症などの病気にも、関与しているとされています。
また、AGEsは褐色で硬いという特徴があるため、肌細胞に定着すると色素沈着やシミの原因に。
コラーゲンを形成する線維がダメージを受けると、ハリや弾力が失われてシワやたるみにもつながります。
老化による症状
人間にとって老化は避けられないことですが、どのようなことが起こるのか知っておけば、対策もしやすいでしょう。
老化による主な症状は以下の通りです。
体の老化
体の変化として主に挙げられるのが、筋力や免疫力、神経伝達速度など、生体機能の低下です。
加齢によって転びやすくなったり、風邪をひきやすくなったりするのもこのためです。
また、酸化(活性酸素)によって細胞を傷つき、がんや血管系の疾患のリスクが高まることも。
さらに、糖化も血管や内臓にダメージを与える恐れがあります。
糖化によって血管がもろくなると動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞や脳梗塞などの深刻な症状につながりかねません。
肌の老化
細胞が入れ替わるサイクルが遅くなったり、細胞そのものの量が減少したりして、傷や肌トラブルの治りが遅くなることがあります。
肌のターンオーバーのサイクルは20代なら約28日ですが、40代になると約45日かかるとされているため、その分肌の生まれ変わりも遅くなるのです。
また、酸化や糖化によってメラニンの産生が促進されたり、コラーゲンがダメージを受けたりして、シミや色素沈着、シワ、たるみなどの原因となります。
脳の老化
人間の脳は、神経細胞の減少や、脳の動脈硬化による血流の低下などによって、年齢とともに萎縮します。
脳が委縮するスピードには個人差がありますが、65歳ぐらいになるとほとんどの人に明らかな萎縮が見られるとされています。
脳の萎縮にともない、判断力・記憶力の低下や動作が緩慢になるといった症状が現れますが、脳の萎縮=認知症というわけではありません。
極端な萎縮でなければ、加齢によって誰にでも起こり得ることです。
なお、脳はエネルギーや酸素を大量に消費するため、その分活性酸素が発生しやすく、老化しやすいと言えます。
また、脳のエネルギー源はブドウ糖なので、糖分をたくさん摂るとよいと思ってしまいがちですが、過剰な糖分は糖化につながるだけでなく、脳にとってストレスになる恐れがあります。
食後に眠くなったり、集中力が低下したりする場合は糖分過多かも。
血糖値が急激に上昇するような甘いお菓子やジュースは摂りすぎないようにしましょう。
老化防止のために生活習慣を見直そう!
老化は人間にとって避けられない自然現象です。
しかし、食事や生活習慣の見直し、適切なスキンケアなどで老化をある程度防止できることが期待できます。
そのため、まずは毎日の生活でできることから始めましょう。
ツバメの巣のように老化防止に効果的とされるものを取り入れるのもおすすめです。