シアル酸がアレルギー症状を緩和させる?具体例を用いて解説
シアル酸は、人間の体内や動物性の食べ物に含まれる物質です。人間の細胞の内外には糖鎖という、免疫機能などにかかわるものがあり、糖鎖を構成する栄養素の一つがシアル酸です。 シアル酸に期待できる効果は美肌作りや育毛だけではありません。免疫機能に深く関わっており、アレルギー症状を緩和する働きもあると言われています。今回は、シアル酸とアレルギー症状の関係や、緩和するとされる理由を詳しく解説します。
シアル酸はどのようなアレルギー症状に効果があるのか?
人間の体には、異物を排除したり対抗したりするために抗体を作るといった免疫機能があります。弱毒化した病原体やウィルスを接種して抗体を作るワクチンは、この免疫機能を利用したものです。しかし、人によっては排除する必要のないものに対しても抗体を作ってしまい、アレルギー症状が引き起こされることがあります。まずは、こうしたアレルギー症状に対して、シアル酸がどのように働くのか見ていきましょう。
食物アレルギーの治療においてシアル酸に大きな可能性あり!
体内に侵入して抗体(IgE抗体)と結びついたアレルゲン(食物や花粉などアレルギーの原因となるもの)は、アレルギー反応を引き起こすマスト細胞を刺激します。その結果、ヒスタミンなどの神経伝達物質が放出され、鼻水や目のかゆみ、じんましんといった症状がおきるのです。 シアル酸はこうしたアレルギー症状の緩和・治療に効果が期待されています。ある研究では、シアル酸によって変化した糖鎖(シアル化多糖類)には抗アレルギー作用があることが確認されました。 一方で、食物アレルギー患者のIgE抗体は、食物アレルギーがない患者のIgE抗体とは付着する糖鎖の組成が異なり、食物アレルギー患者のIgE抗体にはシアル酸が多く結合していると言われています。このように、シアル酸はさまざまな角度からアレルギーと関係していることが考えられます。
花粉症の抑制に役立つ!
シアル酸はアレルギー性結膜炎の予防や治療にも効果が期待されています。 目の杯細胞には、潤いを保つために粘液を分泌する働きがあります。主な成分はムチンというタンパク質です。目に異常があるとムチンの分泌量は増加し、シアル酸と結びつきます。シアル化された糖鎖を持つムチンは、目に入ってきた花粉の粒子を捕まえて包み込み、カプセル化することが分かりました。 また、ムチンとシアル酸によるカプセル化は、黄砂やホコリなどの微粒子が目に入った時にも役立つ可能性があるとして、研究が進められています。
アトピー性皮膚炎改善に効果が期待できる
アトピーの語源は「奇妙な」という意味のギリシア語です。アトピー性皮膚炎は文字通り、原因がはっきりしない皮膚炎であり、かゆみを伴う湿疹が繰り返し現れるものです。ただ、アトピー性皮膚炎の人はなんらかのアレルギーを持っていることが多いようです。 シアル酸は食物や花粉などのアレルギー改善に有効性が期待できるとされているため、アレルギーのあるアトピー性皮膚炎患者にも、シアル酸が効果を発揮する可能性は大いにあるでしょう。 実際に、アトピー性皮膚炎のマウスなどを用いた実験では、アトピー性皮膚炎における炎症、重症度、皮膚の厚さ改善などの結果が出ています。
シアル酸で免疫力を上げてアレルギーの予防に!
シアル酸は細胞の表面を覆う糖鎖の末端に存在しています。細胞がほかの細胞や分子を認識するには、シアル酸の存在が欠かせません。免疫系におけるリンパ球も例外ではなく、シアル酸を介して分子同士が結合しています。 また、なんらかの異物が体内に侵入してきたときには、糖鎖やシアル酸がその異物を認識したり、他の免疫細胞に情報伝達したりしています。つまり、免疫機能が正常に働くためには、シアル酸は不可欠だと考えることができます。 アレルギーは何らかの理由で免疫機能が正常に働いていない状態です。シアル酸を補うことで免疫力がアップすれば、アレルギー症状の改善・予防にもつながるでしょう。
インフルエンザなどの身近な病気の感染も防ぐ可能性あり!
シアル酸はアレルギーだけでなく、インフルエンザなどの感染を防ぐ効果も指摘されています。 これまでインフルエンザウイルスはシアル酸と結合することで感染するとされてきました。しかし、近年の研究によって唾液中の結合型シアル酸がインフルエンザウイルスの感染を防ぐ可能性があると分かったのです。結合型シアル酸とは、何らかのタンパク質と結合したシアル酸です。インフルエンザウイルスを捉え、細胞表面のシアル酸に接触するのを阻害することで感染を防ぐと言われています。 また、乳幼児にウイルス性の下痢を引き起こすロタウイルスに対しても、シアル酸を含むオリゴ糖が感染を抑制する効果が見られました。
シアル酸はどのような食べ物に含まれる?
シアル酸はさまざまな食べ物に含まれています。その中から特に含有量の多い食べ物を見ていきましょう。 まず、ツバメの巣はシアル酸が最も豊富な食べ物です。中国では美容や健康によい高級食材として、古くから珍重されてきました。天然のアナツバメの巣に含まれるシアル酸は、100gあたり10,000mgにも上ります。人間の唾液(6mg)の約1500倍以上、パーフェクトフードと呼ばれるローヤルゼリー(50mg)の約200倍と、桁違いの含有量です。 また、牛乳や鶏卵にもシアル酸は含まれています。 含有量はツバメの巣に及びませんが、毎日の食生活に取り入れやすいのがメリットです。
シアル酸はサプリからも摂取できる!
シアル酸は食べ物から摂取するのがよいでしょう。しかし、天然のアナツバメの巣を日常的に摂取するのは簡単ではありません。牛乳や卵が苦手、アレルギーがあるという人もいるかもしれません。さらに、身近な食べ物から摂取できるシアル酸の量はそこまで多くありません。 そのため、シアル酸を効率よく摂取するならサプリがおすすめです。時間や場所を選ばず飲める、必要量を確実に摂取できるといったメリットがあります。 しかし、サプリや健康食品に用いられるアナツバメの巣にも、偽物が存在する恐れがあります。原料の産地や成分表示は必ずチェックし、信頼できるメーカーのものを選びましょう。安すぎるものも避けた方が無難です。
シアル酸はさまざまなアレルギー・病気に効果が期待できる
シアル酸は免疫機能において重要な役割を果たす成分です。近年ではアレルギー症状を緩和し、さまざまな病気を予防する可能性が注目されています。食べ物から積極的に摂取することで、免疫力アップも期待できるでしょう。 シアル酸はアナツバメの巣をはじめ、牛乳や鶏卵などに含まれています。サプリを活用したり、毎日の食生活に取り入れたりして、シアル酸を摂取していきましょう。