産後の母体を回復させるにはどうすればいい?母体はどのように変化する?
産後は母体が回復するまでに6~8週間かかるといわれています。出産後は赤ちゃんのお世話に忙しい時期ですが、母体をしっかりと回復させることも大切。回復するためのポイントと産後に訪れる母体の変化について解説します。
産後の母体を回復させるには?
一般的に、産褥期は6~8週間といわれています。この期間は産後の母体を回復させる大切な時期。出産を終えたばかりの方も、これから出産を控えた方も、産後は次の4つを心がけましょう。
しっかりと休養を取る
産後はとにかく休養第一で過ごしましょう。とくに産後1~2週間目は、入浴にも制限がある時期です。退院するまでは赤ちゃんのお世話はなるべく病院にまかせて、ママはベッドで横になって過ごしてください。退院してからも家事など、必要以上にがんばろうとするのは禁物です。
3週間目を過ぎたあたりから、少しずつ体も回復してきます。赤ちゃんのお世話にも慣れてくるころでしょう。しかしまだまだ疲れやすい時期で、体が完全に回復したとはいえません。長時間外出したり、立って家事をしたりするのは避け、赤ちゃんの検診の際もタクシーなどを利用したほうがよいでしょう。
赤ちゃんの1ヶ月検診が終わった5週目ぐらいになると、だいぶ体が回復してきたのを実感できるでしょう。しかしまだ完全に体が元に戻ったわけではありません。妊娠前の体力が戻ってくるには、早い人でも3ヶ月はかかります。外出は短時間ですませ、無理のない程度に少しずつ活動範囲を広げていきましょう。
バランスの良い食事をとる
産後の回復には、栄養たっぷりのバランスの良い食事が必要です。とくに次の栄養素は体の回復にも必要なものなので、積極的に摂取しましょう。
- タンパク質
肉、卵、豆腐、白身の魚などに多く含まれます。 - ビタミン類
野菜や果物などに多く含まれます。 - 鉄分
ほうれん草、レバー、マグロ、豚肉などに多く含まれます。 - カルシウム
乳製品などに多く含まれます。
逆に、脂肪分や糖分は乳腺炎の原因となる可能性があるため、控えたほうがよいといわれています。授乳中は食べ過ぎないように注意しましょう。
サポートを受ける
産後はひとりで家事や育児を引き受けるようと頑張るのは禁物です。体はもちろんですが、精神面でも不安を感じやすい時期なので、ひとりで無理せず、なるべくパートナーや家族に協力してもらうのが理想です。
もし身近に頼れる人がいない場合は、サポート制度を頼る方法もありますよ。赤ちゃんとの生活や育児の不安があれば、地域の産後ケア施設や相談センターなどで相談してみましょう。
ストレスをため込まない
産後はホルモンバランスが大きく変化するため、気分が落ち込んだり不安を感じやすくなったりすることは珍しくありません。また、授乳やおむつ替えなどに忙しく、睡眠不足がストレスとなってマタニティブルーを発症してしまうこともあります。
お母さんひとりで赤ちゃんのお世話をしようとせず、なるべく周囲の助けを借りて、睡眠時間を確保したり、話し相手になってもらったりすることで体も心もラクになりますよ。
身体を冷やさない
産後は季節関係なく、身体を温める生活をしましょう。産後1か月まではお風呂に入れない事が多いので身体が冷え切っています。足湯や背中にカイロを貼ったり、電気毛布などを使い汗ばむくらいに温めるようにしましょう。食事も根菜類たっぷりのスープやお粥など消化がよく温かいものを摂取するようにしましょう。
産後の母体はどのように変化するの?
産後の母体が元に戻るまでの6~8週間を「産褥期(さんじょくき)」と呼んでいます。この時期の母体には多くの変化が訪れますが、どのようなことが起こるのかを解説します。
子宮の回復と後陣痛
後陣痛とは、産後に子宮が収縮するために生じるお腹の痛みのことです。出産前には赤ちゃんを育てるために子宮が大きくなっていましたが、産後はその子宮が急激に小さくなっていきます。1週間ほどで大きかったお腹がほとんど目立たなくなり、6~8週間もすると、妊娠前の状態に戻ります。
このように日ごとに子宮が小さくなっていくため、産後最初の3日程度はお腹に時々痛みを感じますが、子宮が回復する過程で起こる自然な現象です。
悪露
悪露(おろ)とは、子宮内膜や傷から分泌されるおりもののようなものです。
出産から2~3日は生理のような赤い色をしていますが、子宮が回復していくにつれて、徐々に茶色に変化していきます。6週間もすると白色~黄色になり、量もかなり少なくなります。
月経の再開
月経が戻る時期には個人差がありますが、一般的には、産後半年~1年ほどで月経が再開する方が多いようです。
ただし、母乳で育児をしている間は月経が止まったままの方が多いです。これは、赤ちゃんが母乳を吸う刺激によって、「プロラクチン」という月経を止めるホルモンが分泌されるからです。
また、産後直後は母体の栄養状態が万全ではなく、子宮にもダメージを負っています。ある程度子宮が回復するまでは月経は再開しません。月経が戻らないと気になるかもしれませんが、それほど神経質に考える必要はありません。1年程度はゆったりと待ちましょう。
傷口の回復
出産時は、分娩を助けるために会陰を切開するのが一般的です。会陰部の傷は回復が早く、多くの方が産後5~6日で痛みもラクになるようです。もし痛みが強い場合は鎮痛剤を使う選択肢もあるため、医師に相談しましょう。
なお、傷口を縫合した場合は回復を待って抜糸をしますが、抜糸は退院前日、もしくは退院時の診察で行われることが多いようです。
しばらくは座浴やシャワーなどで清潔に保ち、座る時は円座などを使い傷口を圧迫しないように座りましょう。よもぎ蒸しなども傷の回復には効果があります。
産後スムーズに母体を回復させるためにあまり無理をしないように
産後は母体に大きなダメージを負っています。回復までには時間がかかるので、あせらず、少しずつ元に戻るのを待ちましょう。
ポイントは
- しっかり休養する
- 食事で栄養を摂る
- 周囲のサポートを頼る
- ストレスを溜めない
- 身体を冷やさない
の5つです。
家事も赤ちゃんのお世話も、無理せず、ひとりで頑張りすぎないことが大切。周囲の人やサポートを頼りながら、自分をいたわってあげてくださいね。