logo 産後の体温が高いのはなぜ?体温が高いのはいつまで?

産後は、分娩そのものや、痛みによる緊張などによって一時的に体温が上がることがあります。しかし、38℃以上の発熱がしばらく続くような場合はなんらかの異常が生じている恐れがあります。

この記事では産褥熱(さんじょくねつ)をテーマに、原因や予防法、治療法などについて解説します。

産後、体温が上がるのは産褥熱の症状!

産後は体温が上がることがよくあります。原因やメカニズムとしては、運動するときに体温が上がるのと同様に、分娩時にも体温が上がること、痛みによる緊張などによって血管が収縮して体温が上がるといったことが考えられています。

しかし、2日以上にわたって38℃以上の熱がある場合は産褥熱の恐れがあります。発熱以外の症状は、腹痛、悪臭や固まりが出るといった悪露の異常、全身のだるさなどが挙げられます。

産褥熱の原因は?

産褥熱は感染によって生じるものです。出産の際に膣や子宮に細菌が入って感染することで、産褥熱が生じます。その原因としては、破水から24時間以降の出産、胎盤などが子宮内に残ったままになること、悪露の排出の遅れ、母親の免疫力低下などが考えられます。

なお、性感染症や糖尿病、免疫不全疾患などの病気を合併しているときに起こりやすいと言われています。

産褥熱はいつまで?

産褥熱は、産後24時間~10日以内で、38℃以上の熱が2日以上生じることを言います。

かつては産褥熱が生じると死亡することもありましたが、最近では死亡率が激減し、適切な治療を受ければ回復が見込めます。

ただし、治療法や回復までの期間は症状によって異なります。軽症であれば薬の内服のみでよいケースもありますが、中等症以上になると入院して点滴をしたり、外科手術が必要になったりするケースもあります。そのため、回復までにある程度の期間がかかることもあるでしょう。

産褥熱の予防法

感染予防を徹底することで、産褥熱をある程度予防することも可能です。どのような方法があるか詳しく見ていきましょう。

体を清潔に保つ

感染予防のためには体を清潔に保つことが大切です。産後1ヶ月程度は入浴やビデの使用をしないといった禁止事項もあるので、それらを守ったうえで清潔を心がけましょう。できればトイレのたびにナプキンや産褥パッドを変えてください

なお、排泄後に外陰部を清潔にしたい場合は、清浄綿を使うのがおすすめです。

適度な運動とリラックス

悪露の排出が遅れると産褥熱の原因となることがあります。寝たきりのままでは悪露が排出されにくいため、適度に日常生活で運動するのもよいですが、熱のある時は安静にしてください

産後すぐに始められる運動に産褥体操があります。病院でやり方を指導されることもあるので、医師や助産師さんの指示に従って無理のない範囲で体を動かしましょう。

一方で、疲れがたまると免疫力が低下して感染に対する防御も弱くなってしまいます。そのため、リラックスして体を労わることも大事です。

定期的にトイレに行く

あまり排尿しないと膀胱に尿がたまったままになり、子宮収縮の妨げになります。すると、悪露が排出されにくくなり、産褥熱の原因になることも。

産後は尿意をしっかり感じられないこともあるため、尿意があまりなくても定期的にトイレに行くとよいでしょう。

産褥熱を発症してしまったらすぐ病院に

産後に38℃以上の熱が続いていたり、下腹部の張りや痛みがあったりする場合、または悪露から悪臭がするといった場合は早めに医師に相談しましょう。放置すると感染が広がり、敗血症によって命にかかわることもあるため、早めに適切な治療を受けることが大事です。

具体的な治療法

産褥熱の治療法は症状の程度によって異なります。軽症なら抗生物質を内服することで治療が可能ですが、中等症以上の場合は入院して抗生物質の点滴をする必要があります。さらに、悪露などの排出を促すために、子宮収縮剤の使用、子宮口を開く処置、子宮内の洗浄などが必要となることもあります

お腹に膿がたまっているような場合は、外科的な処置(手術など)を行うこともあります。

産褥熱は早めの治療が大事!異変があればすぐに医師に相談を

産後に体温が上がるのはよくあることですが、38℃以上の熱が2日以上続いている場合は、産褥熱の恐れがあります。

産褥熱が出ているということは、膣や子宮に細菌が入って感染が生じているということ。放置すると最悪の場合命にかかわることがあるため、適切な治療を受けることが大事です。産後10日頃までに発熱とともに下腹部の張りや痛みがある、悪露の様子がおかしいなど、異変がある場合はすぐに医師に相談してください。

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