ツバメの巣とは?高級食材と言われる理由などを解説!
中華料理では高級食材と言われているツバメの巣。その正体は、日本のツバメの巣とは大きく異なるものです。
この記事では、高級食材のツバメの巣がどんなものなのかや、高級な理由をはじめ、期待できる効果、食べ方などについてご紹介します。
ツバメの巣が高級な理由
中華料理の高級食材として知られるツバメの巣は、アナツバメと呼ばれるツバメの唾液から作られるのですが、高級な理由として、以下の4つが考えられます。
採取が大変
アナツバメは断崖や天井の高い洞窟に巣を作るので、人間がツバメの巣を採取するには命がけで危険が伴います。さらに、アナツバメを保護するために、ツバメの巣の採取の時期や立ち入りが厳重に管理されていることによっても、採取が困難になっています。
たとえば、最高峰とも言われるマレーシア産のアナツバメの巣は、マレーシア政府にとっても貴重な天然資源。マレーシアでツバメの巣を採取することが許されているのは、政府の許可を得た業者のみ。しかも、採取できるのは年3回だけと決まっています。
採取量が少ない
アナツバメが生息している地域はごく僅か。さらに、アナツバメは環境汚染に弱く、空気の綺麗な場所でしか巣をつくらないため、環境が悪くなるにつれて、アナツバメの数も減ってきているそうです。
そして、そもそもツバメの巣自体が希少であることに加え、前述のように採取をするハードルが非常に高いため、必然的に採取量が少なくなります。
また、ツバメの巣は健康や美容にも効果が期待できるため、その効能を目的にツバメの巣を求める人も多くなっています。つまり、需要に対して供給が足りず、希少価値が高くなっていくにつれて値段も高価になってきているようです。
採取後の処理が大変
ツバメの巣はアナツバメが唾液で作った天然のものなので、食用に処理をするのにも手間と時間がかかります。アナツバメの中には、唾液の他に羽毛などを使って巣を作るものもあるため、丁寧に処理をする必要があるようです。
美容と健康に効果が期待できる珍味
ツバメの巣には、以下のような美容や健康効果も期待できます。近年では美容や健康効果を得る目的でのニーズも高まっています。 ・傷の修復 ・肌の弾力アップ ・抗炎症作用 ・アトピー性皮膚炎の改善 ・シミ抑制(美白) ・インフルエンザの感染阻害 ・ロタウイルスの抑制
ツバメの巣は「ジャワアナツバメ」などの唾液からできている
ここまで、ツバメの巣=アナツバメとご説明してきましたが、具体的にはアマツバメ目アマツバメ科アナツバメ族に分類される、ジャワアナツバメなどの数種のツバメの巣のことを指します。生息地は東南アジア沿岸です。
また、アマツバメ科の鳥は、繁殖期を除いてほとんど地表に降りることはありません。巣材も空気中に漂っている鳥の羽毛などの塵埃を集め、これを唾液腺からの分泌物で固めて皿状の巣を作ります。このうち、ジャワアナツバメとオオアナツバメは、空中から採集した巣材をほとんど使わず、ほぼ全体が唾液腺の分泌物でできた巣を作るのです。
ツバメの巣は中華食材?
ツバメの巣はフカヒレと並ぶ高級中華食材で、前述のアナツバメ族の鳥が吐き出す分泌物で作られた巣を採取したものです。
その歴史は古く、約2000年前の唐の時代から、当時の貴族に食べられてきたと言われています。なんと、唐時代の皇妃であり、世界三大美人の一人でもある楊貴妃もツバメの巣を食べていたそう。さらに、500年以上前となる明王朝以降は、皇帝の「宮廷御膳」として食べられるように。現在でも、たくさんの豪華な料理を並べて、何日もかけて食べるという、贅沢な中華料理の形式である「満漢全席」において、ツバメの巣が出されています。
また、通常、ツバメの巣は海風があたる断崖絶壁や、洞窟内の高い天井や壁面などに作られるため、採取は非常に危険な作業となります。そのため、現在でも、貴重な食材として高値で取引されています。
日本のツバメとアナツバメの違い
前述の通り、食用になる巣を作るのは「アナツバメ」という種類のツバメで、東南アジアのごく一部の地域にしか生息していません。一方、日本のツバメはスズメ目ツバメ科に分類される鳥で、アナツバメとは生物の分類学上でも全く異なります。日本のツバメの巣は泥や枯草などでつくられており、食べることもできないので注意が必要です。
また、日本のツバメは何度も同じ巣を使って繁殖しますが、アナツバメの巣は一度きり。子育てごとに新しい巣を作るため、古い巣を人が採って食べても繁殖に問題はないのです。
ツバメの巣は縁起物
日本のツバメは、昔から幸運の象徴と言われています。その理由として、鬼門に巣を作らない、優しい人が集まる所に巣を作る、ツバメが巣を作ることで玄関をこまめに掃除することになり、玄関が綺麗になるため、幸運が舞い込んでくる、といったことが挙げられます。
では、アナツバメの巣はどうかというと、中国でもツバメの巣は縁起物というイメージがあるそう。中国では「愛情鳥」とも呼ばれ、オスもメスも子育てをすることから、家庭円満の象徴でもあるようです。娘の結婚にツバメの巣を贈る習慣もあります。
ツバメの巣は健康・美容への効果が期待できる
ツバメの巣には、シアル酸をはじめとする糖鎖栄養素や、上皮成長因子の「EGF」など、さまざまな栄養素が含まれているため、健康や美容への効果が期待できます。これらの成分と期待できる効果の詳細については以下の通りです。
美と健康の司令塔「シアル酸」
ツバメの巣には、非常に多くのシアル酸が含まれています。 シアル酸は「美と健康の司令塔」とも言われる糖の一種。細胞の表面などに存在し、外部からの異物の侵入を検知したり、細胞同士の情報伝達にかかわったりする「糖鎖」を構成する糖の一つです。 糖鎖は文字通りいくつかの糖が鎖状につながっており、シアル酸はその先端に存在します。そのため、ウイルスや細菌などの異物がシアル酸に触れることで、その情報が細胞の中に取り込まれるなど、免疫機能においてとても重要な役割を果たします。 また、以下のような働きや役割もあるとされています。 ・免疫の調整・向上 ・ウイルスなどの外敵の侵入阻止 ・ホルモン合成 ・神経伝達 ・血液型の決定 ・体内の酸化防止 ・育毛のサポート ・肌の保水力・バリア機能を高める ・シミの予防・改善 ・炎症を抑える ・脳の機能を向上する など
細胞の健康を維持する「糖鎖栄養素」
参照 https://www.bi-su.jp/brand-story/about
前述した糖鎖を構成する糖を、糖鎖栄養素と言います。糖鎖栄養素は、シアル酸を含めて全部で8種類あり、ツバメの巣にはそのうちの6種類が含まれています。それぞれに期待できる効果は以下の通りです。
糖鎖栄養素 | 期待できる美容・健康効果 |
---|---|
シアル酸 |
・免疫機能の向上 |
マンノース | ・マクロファージ(体内に侵入したウイルス、細菌などの異物を消化するもの)の活性化 |
フコース | ・免疫機能において重要な働きをする |
ガラクトース | ・免疫機能において重要な働きをする |
N-アセチルグルコサミン | ・ヒアルロン酸のもと |
N-アセチルガラクトサミン | ・細胞間の情報伝達において重要な働きをする |
細胞の再生を促す「EGF」
EGFとは、上皮成長因子といって、細胞の成長を促すタンパク質です。EGFは人間の肌にも存在するものですが、年齢とともに減少し、傷が治りにくくなったり、シワやたるみ、シミなどができやすくなったりすることがあります。
そのため、ツバメの巣を摂取することでEGFが補給でき、肌の老化防止につながると考えられます。
ツバメの巣の食べ方
中国料理としての燕の巣は特に広東料理で食べられます。元や明代に中国に伝わったようですが、清朝時代にはアワビやフカヒレなどと共に豪華な宴席料理に用いられるようになりました。現在では、水で戻してから柔らかく煮込んで料理やデザートなどに使うことが多くなっています。
ツバメの巣は高級食材!そこにはさまざまな理由があった
中華料理の高級食材として知られるツバメの巣ですが、高級である理由としては、採取が大変かつ採取量が少ないこと、採取後の処理が大変であること、美容や健康にも効果が期待でき、ニーズが高まっていることなどが挙げられます。
また、美容、健康目的でツバメの巣を食べたいけれど、高級品で手が出ない、毎日取り入れることができないと思うかもしれません。しかし、最近ではツバメの巣のエキスを配合したサプリメントやゼリーなどの健康食品も登場しているので、利用を検討してみてはいかがでしょうか?
シアル酸は、食材の中でアナツバメの巣に最も含まれています。
しかし、アナツバメの巣には人工的に作られた「養殖」や化学薬品を混ぜた「偽物」が市場に多く流通しています。
シアル酸を安全に取るためには、大自然の中でつくられた「天然」のアナツバメの巣を選ぶことが重要ですが、天然物を手に入れることは非常に困難です。
そのため、天然物を使っていることが保証されたサプリメントを利用したり、肌への効果を期待する場合はコスメなどを利用したりするのがおすすめです。