ツバメの巣の正体は唾液!?唾液に含まれる成分とは?
中華料理の高級食材というイメージも強いツバメの巣は、アナツバメの唾液から作られています。じつはこの唾液には美容にも健康にもうれしい成分が含まれてます。本記事では、ツバメの巣の正体と成分、収穫方法についてわかりやすく紹介します。
ツバメの巣の正体はアナツバメの唾液?
「ツバメの巣」というと、多くの方が春から夏にかけてよく見かけるツバメの巣を想像するのではないでしょうか。藁や泥から作られた巣で子育てをする様子は愛らしいものですが、高級食材として知られるツバメの巣は、このツバメの巣ではありません。 日本の家屋の軒下などで見かけるツバメは、スズメ目ツバメ科のツバメです。一方の高級食材のツバメの巣は、アマツバメ目アマツバメ科の「アナツバメ」によってつくられるものです。
アナツバメの唾液腺の分泌物
アナツバメは日本で見かけることはなく、マレーシアやベトナムなどの山地や海岸にある洞窟の中で巣を作ります。また、巣づくりには泥や草、枝などは使いません。アナツバメみずからの唾液線から出した分泌物を細く編み込むようにして巣をつくるため、白い色をしており、ゼリーのようにやわらかく、無味無臭です。
アナツバメの唾液に含まれる成分とは?
アナツバメの唾液によって作られた巣には、効果に目を見張るような成分が含まれています。それぞれの成分をくわしく見ていきましょう。
シアル酸
参照 https://mstyle-j.co.jp/tsubame-lab/science-lab/sciencelab01
シアル酸とは、細胞の表面などに存在する「糖鎖」を構成する糖の一種です。糖鎖は病原菌やウイルスなどから体を守るために、細胞間の情報伝達を行う役目などを果たしています。そのため、免疫システムを正常に機能させるために欠かせない存在とされています。 また、免疫以外にも、髪の毛が成長する期間を長くし、抜ける期間を短くすることによる育毛効果や、水分の保持に大切なコラーゲンやヒアルロン酸を必要なところに誘導することによる美肌効果なども期待できます。 このほか、シアル酸は、中枢神経系の器官の形成・発達を促すとも言われています。母乳にもシアル酸が含まれており、自分でシアル酸を合成することが難しい新生児の脳の発達に関与する可能性が考えられているのです。
EGF
EGFとは、私たちの体内にもあるたんぱく質の一種で、美肌や育毛にも関与する成分です。肌表面の細胞の成長を助けたり、代謝機能を整えたりする作用があることから、すこやかな肌状態を保つために大切なものとされています。 また、毛髪には「成長期」「退行期」「休止期」の発毛サイクルがありますが、EGFはこれらの期間の長さを調整する働きがあることがわかっています。 このように肌にも毛髪にも大切なEGFですが、20歳を過ぎると加齢とともに減少してしまいます。40歳では20歳のときのなんと約3分の1にまで減ってしまうといわれており、食事から不足しがちなEGFを摂取することが推奨されています。
ツバメの巣はアナツバメが巣立ってから収穫
マレーシアやベトナムなどに生息するアナツバメは、環境の悪いところを好みません。自然が豊かで人間の手が届きにくい、ジャングルにある洞窟の中の高いところで巣づくりをします。そのため、ツバメの巣を採取するには危険をともない、さらに国によって採取が管理されているため、非常に希少性の高い高級食材となっています。 さて、ツバメの巣を採取してしまうと、「ツバメが困ってしまうのでは……」と心配するかもしれませんが、実はアナツバメは一度ヒナが巣立った巣は二度と使わないという習性があります。子育てをする前には必ず新しい巣をつくるため、人間がツバメの巣を収穫しても、ヒナが巣立った後であれば生態系を壊す心配はないのです。 また、ツバメの巣は採取できる権利を持っている人が限られており、子育てが終わった巣を採取することは、新たな巣作りのためのスペースを確保するという役割も担っています。
ツバメの巣には偽物もある
ツバメの巣は高価であるがゆえに、偽物や過度な加工をしたものも多く出回っています。たとえば、見た目をきれいにするために漂白する、外側を塗装する、量を多くするために海藻や水分を添加する、食用樹脂を混ぜるといったものです。 このような偽物は、天然のツバメの巣のような効果が十分に期待できないばかりか、健康被害の懸念もあるでしょう。 また、偽物ではないものの、本来はアナツバメが巣をつくらないような市街地にアナツバメをおびき寄せて巣をつくらせる、養殖物も存在しています。養殖物は、天然のツバメの巣に比べて栄養も少ないことがわかってきています。
ツバメの巣を取りいれたい際には天然で良質なものを!
ツバメの巣は、日本のツバメとは異なる、アナツバメという種類の鳥のものです。アナツバメの唾液から作られるため、唾液に含まれるシアル酸やEGFなどの美容や健康に役立つ成分を食品から摂取することができます。 ただし、ツバメの巣は高価なため、偽物も多く出回っているようです。汚染された街中でアナツバメに巣作りをさせた養殖ものや、化学薬品に色を付けて作られた粗悪品すら流通しています。 ツバメの巣は中華料理でおなじみですが、現在中国にアナツバメは生息していません。世界でもっとも質の高いツバメの巣はマレーシア産のもの、といわれています。最近では健康食品や化粧品に配合されているものもあるため、購入を考えている方は産地にも目を向けてみるとよいでしょう。